■朝からの重すぎる展開……阿佐ヶ谷姉妹の存在が“癒し”に

 主人公・トキの父・司之介(岡部たかし/53)は松江藩の上級武士だったが、時代は明治になり収入が激減。一念発起して、当時の“ウサギバブル”に乗っかった商売を始めて多額の投資も行なうも、バブルが弾けて事業は大失敗し、司之介は失踪してしまう。

 そして10月2日放送回では、司之介が行方不明になってから10日後が描かれた。司之介は入水自殺する寸前のところでトキ(福地)に発見されるが、松野家はトキが学校を辞めて働く必要があるほどの「借金長者」に転落。しかも、トキが可愛がっていた商用ウサギは、食費を浮かせるため一匹残らず汁物に。ショックを受けたトキは、気を紛らわすために母・フミ(池脇千鶴/43)に怪談話をせがむ――という悲しく重い展開が描かれた。

 しかし、本編はそこで終わらず、阿佐ヶ谷姉妹こと蛇と蛙による「おトキちゃんは、恨めしいことがあると、怪談をせがみました。でも……この日ばかりは、恨めしいことばかりが、募るのでした」(蛇)、「そりゃそうよ!」(蛙)、「ねぇ~!」(2匹)と、同情混じりのやり取りが繰り広げられたことで視聴者は安堵。

《ばけばけ、阿佐ヶ谷姉妹のナレーションがないとやってけないくらい内容がヘビー》
《なかなか壮絶…蛇と蛙のコミカルナレーションでなんとか癒しが》
《ばけばけ、状況はハードなんだが、お笑い描写で和ませてくれるの助かるな…いや絶対こんな「おトキちゃんと愉快な仲間たち」みたいなノリじゃねぇだろ…と思うんだけど、それ位和らげてくれないと朝には辛いわ。阿佐ヶ谷姉妹のナレ助かる〜》
《最初は阿佐ヶ谷姉妹の語りだけ浮いてない?って思ってたけど、内容がシリアス寄りになってきた今となってはあの軽さに救われる》
《うさ右衛門の悲しみを阿佐ヶ谷姉妹の「そりゃそうよ」「ねぇ〜」で和らげるばけばけスタイル》

 など、阿佐ヶ谷姉妹のナレーションが重い展開の中で救いになっている、という声が多く寄せられている。

「同放送回では、司之介の失踪中に水死体が発見されて、顔を確認したトキとフミが司之介ではないことに不謹慎ながらも安堵するなど、朝からかなり攻めた描写もありました。

 直前の朝ドラ『あんぱん』でも戦争や大切な人との別れなど、重く辛い展開が描かれ、ナレーション(NHK林田理沙アナウンサー/35)による週を締めくくるセリフ“ほいたらね!”が癒しだった視聴者も少なくなかった。

『ばけばけ』での阿佐ヶ谷姉妹による語りは朝ドラとしては異例のやり方ですが、本来なら暗く終わってしまう物語の雰囲気を、“朝から気楽に楽しめるドラマ”に昇華するうえで、欠かせないものということではないでしょうか」(前出のテレビ誌編集者)

 ハードな内容が描かれそうな『ばけばけ』は、阿佐ヶ谷姉妹と一緒に鑑賞会を楽しむような視聴スタイルとなりそうだ――。