■売れっ子すぎる夏帆のヒロインは……

 勝男のキャスティングに関しては、7月15日配信の『文春オンライン』が、当初は吉沢亮(31)で内定していたが、泥酔トラブルを起こしたことで、吉沢サイドが辞退したと報じていた。その後、竹内の主演が決まったようだが、主演映画『国宝』の大ヒットなど、最旬の俳優だけに、X上では《吉沢亮で見たかった》という声もある。

 とはいえ竹内についても、原作ファンから《うるさそうでウザそうなのが似合うのは竹内涼真だな》という声も。木村拓哉(52)主演の24年4月期『Believe―君にかける橋―』(テレビ朝日系)では、木村を食うような好演を見せていたし、昭和脳の面倒くさい男をクドいほどに演じきるだろう。

 一方、気になるのは夏帆だ。演技力は十分だが、近作はバカリズム脚本の話題作『ホットスポット』と『ブラッシュアップライフ』(ともに日本テレビ系)や、神の手を失った脳外科医を演じた『ブルーモーメント』、聴覚障害者の女性を演じた『silent』(ともにフジテレビ系)など、クセの強いサブキャラばかり。

 演技が上手いからこそ求められていた役柄だろうが、これらのイメージのせいで、本作で物語の中心にいるヒロインを演じるに当たって、見る側にバイアスがかかってしまいそうなのだ。キャリアが十分だからこそ、そのキャリアが邪魔をしてしまうということはあるだろう。

 ただ、自分の本当の気持ちを押し隠してきた女性という役どころは、そこはかとない幸薄い感のある夏帆にぴったりハマりそうだ。恋人との別れをきっかけに、本当の自分を見つけていく姿がどれだけ共感を呼べるか、成功はそこにかかっているだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。