■シャワーは最後…背中に見た芸人魂
また、のりおさんといえば、なんといってもオバケのQ太郎です。ずっと棺桶に隠れていて、最後にオバQの扮装で登場するのが、おなじみでした。深夜に収録が終わると出演者はみんな、シャワーを浴びて帰るんだけど、のりおさんが使うと白い塗料が付いちゃうから、いつも最後なんです。
誰もいない真っ暗な地下の廊下を、オバQ姿でヒタヒタと歩くのりおさんの背中を見て、「これぞ芸人」と思いましたね。
私は白塗りをしたことがないんです。本当はやりたくてしょうがなかったのに、落とし穴に落ちることも大量の水を浴びることもなくて。すぐ次の現場に行かなきゃいけなかったので、汚れる仕事は事務所が断っていたのか、女性だから守られていたのか、私には分かりません。『ひょうきんプロレス』に出たこともなかったんです。リングにいるダンプ松本(ダンプちゃん)さんは女性なのにね。
太平サブロー・シローさんも好きでした。モノマネが得意で、初期の『やまだかつてないテレビ』(フジテレビ系)を支えてくれたんです。
当時、私は『モンティパイソン』や『サタデー・ナイト・ライブ』といったコメディにハマッていて。シローちゃんが『サタデー・ナイト・ライブ』に出ているジョン・ベルーシに、めちゃくちゃ似ていたから、VHSを渡して「シローちゃんは日本のジョン・ベルーシになれるわよ」と言ったこともあります。
今思えば先輩に対して失礼な発言だけど、シローちゃんは「ありがとう。見てみるよ」と喜んでくれました。55歳で亡くなったのは残念でしたね。
山田邦子(やまだ・くにこ)
1980年、芸能活動開始。81年、デビュー曲「邦子のかわい子ぶりっ子バスガイド編」で有線大賞新人賞受賞。『オレたちひょうきん族』『やまだかつてないテレビ』などで人気になり、多数の冠番組を持つ。2024年10月「日本喜劇人協会 11代新会長」に就任。