■池脇千鶴のビジュアル&演技力が話題に

 池脇は2001年後期の朝ドラ『ほんまもん』でヒロインを務めてブレイクし、『ばけばけ』で24年ぶりに朝ドラにカムバックを果たした。

 そんな池脇は、かつては清純派の美人女優という感じだったが、近年では年齢相応の役を演じるにあたり、増量したりあえて老け込んだりと外見から徹底的な役作りを行なう一流の演技派女優として高く評価されている。今回の『ばけばけ』では年齢を重ねた女性を演じるためなのか、顔は以前にも増してふっくらとしていて、どこか安心感が伝わってくるビジュアルへと激変。それが注目を集めた。

「池脇さんはキャリアも長い実力派ですが、『ばけばけ』ではあらためて、リアリティのある演技が高く評価されています。声の張り方やトーン、身振り手振りがいわゆる“ドラマチック”ではなく、本当に日常の、何気ない会話のような空気感なんですよね」(芸能プロ関係者)

 たとえば10月2日放送回では“うさぎバブル”が弾けて一家が借金まみれになったことで、トキ(高石)は小学校に通えなくなり、明日から働かなければいけなくなる。縁側で落ち込むトキだったが、さらに可愛がっていた商用うさぎが食費節約のために一羽残らず“しめこ汁”にされてしまう――という場面があった。

 そこでフミ(池脇)が「おトキ、おいで。 “しめこ汁”よ。しめこ汁よ、今夜は……」と呼びかけるのだが、池脇は気まずさや歯切れの悪さなどを感じさせる絶妙な口調で演じていた。

『ばけばけ』での池脇のビジュアルや圧巻の演技に、視聴者は沸騰。

《池脇千鶴さんは、怠けてこうなったんではなく確信的に自然なおばさん女優になろうとしてなったんだと思う しがみついてる感が一切ない、見事なくたびれた中年おばさんになってる 43歳でこの仕上がりなら樹木希林と同じように死ぬまで現役でいける》
《池脇千鶴さんの最近の姿や演技を見てると樹木希林に匹敵する国民的演技派女優のポジションを確立しつつあるかもしれないなと思った》
《池脇千鶴は本当に若い頃、可愛くて上手い女優さんだったんだけど、見目をこれだけ変化させて、それでも巧い女優さんの立場を確立させてるの、すごいよな…》
《ばけばけ、『地方の美少女』感のあった童顔の池脇千鶴が、いい味わいの武家のおかみさんになってて、自然な老けっぷりに驚くと同時に役者としての地力を感じる。女優って老いを排除いうか美魔女みたく年齢不詳にしなきゃいけない固定観念があるけど実年齢に即した役をらしくできるって大事だと思う》
《池脇千鶴ってほんとうに上手い。「ええ〜」という台詞一つとっても間合いがあり抑揚があって、表情の変化も実に自然、しかも全く大袈裟じゃない。この人が画面に映っているだけで、演技の何たるかを思い知る》

 といった、生涯現役だった大女優・樹木希林さん(享年75)を連想する声などが多く寄せられている。

「最近は年を重ねても、見た目も雰囲気も若々しい俳優が男女問わず活躍しています。もちろんそれも当人の努力の賜物ではありますが、だからこそ池脇さんのような俳優は稀少ですよね。

『ばけばけ』には岡部さんや小日向文世さん(71)、堤真一さん(61)に北川景子さん(39)と序盤から多くの実力派俳優が登場していますが、そこでも池脇さんの演技、存在感は際立っている感じです。これからも主人公の母として、多くの見せ場があるのはないでしょうか」(前同)

 池脇は9月8日に行なわれた『ばけばけ』の試写会イベントでは、フミを演じるにあたり、「穏やかで朗らかで、時に誰かが間違えたりやぼなことを言ったらちょっとたしなめる、そんな家族を支える床になれたら」と、国民的アニメ『サザエさん』の登場人物・磯野フネを意識したことを明かしている。

 物語はまだ始まったばかりだが、これからも家族を支える“床”として、ドラマを牽引していくのだろう。