■番組名と内容を把握してもらう――“ずっとテロップ表示”の狙い

 當真あみ(18)主演のドラマ『ちはやふる―めぐり―』は、広瀬すず(27)主演で社会現象級の大ヒットを記録した映画『ちはやふる』3部作(2016年~18年)の正統続編ということから注目されていたが、視聴率では大苦戦。最終回(9月10日)の視聴率は世帯3.9%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)、個人2.2%、そしてテレビ界が重視している若年層の数字であるコア視聴率(13~49歳の個人視聴率)は1.6%と、極めて低調で終わってしまった。

「『ESCAPE』の初回を高視聴率バラエティ『上田と女』と“抱き合わせ”で放送したこともそうなのでしょうが、日テレとしては、少しでも数字や話題性につながる可能性があることは、もう何でもやる、という心積もりなのではないでしょうか。

 サイドテロップに関しては、以前同じ水10枠で放送されていた『世界頂グルメ』の影響を指摘する向きもありますね」(前出の制作会社関係者)

『世界頂グルメ』は、昨年4月から今年3月末まで日テレの水10枠で放送されていた、タレントの海外ロケと現地のグルメを楽しむバラエティ番組。同番組では出演者や旅先の国名、お目当ての料理名などがサイドテロップで表示されていた。

「テロップが常に出ていれば、途中から番組を見た人でも何が、どんな内容のものが放送されているのか分かりますよね。それをドラマでも取り入れたのではないかと。だからこそ『ESCAPE』の初回には、タイトルだけでなく《謎が謎を呼ぶ! 人質と誘拐犯の逃走劇!!》というアオリ文がずっと出ていたのではと。

 また、『ESCAPE』の場合は、YouTubeチャンネルで連動企画を行なうなど、多角的に攻めている作品でもあるため、視聴者にドラマ名『ESCAPE』をしっかり覚えてもらいたい、という狙いもあるでしょうね」(前同)

『ESCAPE』放送から1か月前の9月4日、YouTubeで『まぁみぃチャンネル』という、謎のチャンネルが開設された。同チャンネルの主は”いとこインフルエンサー・まぁとみぃ”ということになっているが、どう見てもまぁは加藤千尋(32/元BiSH セントチヒロ・チッチ)、みぃはINI・高塚大夢(26)であることから、《どういうこと?》《何かの企画?》などと注目を集めていた。

 その後、同チャンネルは『ESCAPE』との連動アカウントであり、加藤と高塚が“誘拐事件を追っていく配信者・まぁとみぃ”としてドラマに登場することが発表されたのだ。今後は同チャンネルから、ドラマ本編の考察につながる動画などが投稿されるのでは、と見られている。

 番組名を覚えてもらうこと、途中からでも見やすくすることなど、明確な狙いがあっての“ずっとテロップ表示”ということだろうが――前出の制作会社関係者は「とはいえ、やはりドラマにテロップを入れるのは良くないところもありますよね」と言い、こう続ける。

「視聴者の意見にもありますが、ドラマの世界に没入できない、という大きなデメリットがありますよね。それは、ドラマが“フィクション”だからというのもあるかと。バラエティ番組であれば、多少の演出はあっても“ドキュメンタリー”ですから、テロップがあっても興奮や感動できますが……ドラマはすべて作り物ですからね。

 それこそ、感情移入を求める人間ドラマのような作品で“感動の再会――”などと出ていたら、興ざめも良いところでしょう」

 初回から、本編の内容ではないところで多数のツッコミが入ってしまっている『ESCAPE』だが、前出の制作会社関係者は“チャレンジ”を評価もする。

「今回のテロップ戦略は異例の試み。そのため、主演サイド、事務所サイドとの調整含めて簡単なことではなかったはずです。でも、テロップ入りで放送できているということは、調整が上手くいったということ。主演が佐野さん、桜田さんという若い2人だからこそ成立したところもありそうですね。

 そして、異例の試みの背景には、やはり同枠が“死に枠”になってしまっている、というところが大きくあるでしょう。できることはなんでもやる――『ESCAPE』制作陣は、ひとりでも多くの人にドラマを見てもらうために、賛否を呼ぶことは覚悟の上で挑戦しているのだと思われます」(前同)

 ドラマ本編以外で大きく話題になってしまった『ESCAPE』。第2話以降、本編の面白さで視聴者を獲得していくことはできるだろうか――。