■キャラが見事に愛された『ESCAPE』
スピーディかつドタバタな展開の中、佐野のバカ正直ぶり、桜田とギクシャクしながらも、なじんでいく感じをテンポよく、かつ不足なく描いていた。いわゆるストックホルム症候群のテイストはあるが、父親の闇、八神製薬と犯人グループとの関係など、今後、物語はさまざまな方向に膨らんでいきそうだ。
初回とあって、各キャラの設定、その状況を説明する内容だったが、メイン2人の描写を多くして、周辺キャラの八神慶志(北村)、結以(桜田)の叔母・霧生京(富田靖子/56)、万代詩乃(ウイカ)、犯人グループの説明を匂わせ程度に留めたのがよかった。それもあって、2人が強く支持されたのだろう。
一方、裏番組の『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう(もしがく)』(フジテレビ系)は、登場人物が多すぎて、先週放送の初回はキャラ紹介が渋滞。早くも離脱者が出たようで、第2話の平均世帯視聴率を初回から1.0ポイント落として4.4%と、本作よりも下回ってしまった。これは、初回の“つかみ”の差が大きく出たのだろう。
次回は、誘拐の首謀者・斎藤(飯田)と結以の父・慶志との間で27年前に何らかの因縁があったことが判明。さらに、結以と大介(佐野)が少年を誘拐するという驚きの展開で、物語がテンポアップしそうだ。視聴率を下げたものの、『もしがく』の第2話はテンポが良くなったなどと好評だが、水曜夜のドラマ対決の行方は――。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。