■『1回引く』という文化がなくなってきてる

 気遣いのあるやりとりが、若い人にはローディングされてないんだよね。もしかしたら親の世代も、そうなのかもしれない。 人の家にお邪魔するのに、手ぶらで行っちゃうとかさ。

 それが如実に表れてるのが、「たまに見ます」な気がする。突き詰めていくと、元気な頃の蛭子能収さんがそうだった。思ったことを、そのまま口に出して人気者になったじゃない。

 あれは受け狙いの暴言じゃなくて、無意識なんだよ。

 自然に気を遣える人っているんだけど、やっぱり“1回引く”という文化がなくなってきてるよね。

 デキる人同士が出会うと、譲り合いが始まる。

「どうぞ」

「いや、お先に」

「そう言わずに」

 2回は遠慮するよね。皿に残った最後の1個「どうぞ、どうぞ」と言える人、譲り合う心を持っている人たちが集まったときの気持ちよさったら、ないぜ。

 そういう人たちとの付き合いは長く続くよ。

 それと真逆なのは、カラオケでマイクを離さずに歌い続ける人だ。

 俺が俺がの“やらかしてる人“を見つけたときの対応も、老害か老Guyに分かれる分岐点だろう。

「いた! いた!」

 と心の中で反面教師にするだけ。目くじら立てない。口に出した途端、老害認定されてしまうからね。

マイクを独り占めして唄う男性
マイク独り占めは老害認定!? ※画像/photoAC

玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう)
1967年生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、水道橋博士と浅草キッドを結成。一般社団法人全日本スナック連盟会長。