相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
大相撲秋場所は最後の最後まで盛り上がったね!
11日目までは、横綱・豊昇龍がぶっちぎりに強くて、このまま全勝優勝するんじゃないか? くらいの勢いがあったのに、12日目に小結・安青錦、13日目に大関・琴櫻に敗れて2敗。
1敗で追う形だった横綱・大の里は、14日目に琴櫻が、まさかの休場で不戦勝。白星が転がり込んできたのだから、ツイている!
ただ、千秋楽の結びの一番で、先輩横綱の「意地」を見せたのは豊昇龍だった。もともと分のよかった大の里を一気に押し出して、決定戦に持ち込んだのだから、ファンとしては、たまらない展開だ。しかも、横綱同士の優勝決定戦は、16年ぶりだという。
決定戦は、大の里がガムシャラな相撲を取った。最後の場面、大の里の足が返った、返らないで物言いがついたものの、大の里の勢いが勝っていた。
「(優勝を)本割で決めたかったけれど、優勝がチラついて、ちょっと欲が出てしまったかな?」
と、大の里は反省の弁を述べていたけれど、もう、これで5回目の優勝だ。
懸賞金も今場所だけで3000万円超えというのだから、夢があるよね。オレだったら、すぐにギャンブルにつぎ込んじゃうけど(笑)、大の里は、そういう趣味もなさそうだ。最近の力士はガッチリ貯めているみたいだけど、税金もガッポリ取られそうだね。
さて、今場所も11勝で技能賞を獲得したのが安青錦だ。幕内に上がって以来、4場所連続11勝。体が大きいほうではないから(182センチ、138キロ)、上位では相撲を覚えられて、壁にブチ当たるんじゃないかと思っていたけど、この力士には壁という壁がない。