日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが “乗った・乗りたかった” あの一台をプレイバック!
運転の楽しさと環境性能を高次元で両立させた先進設計
■コンパクトなボディが生み出す軽快な走り
ホンダは1980年代から1990年代に掛けて、運転感覚の楽しいクーペを数多く投入することで、クルマ好きのユーザーから高い支持を得ていた。その中心に位置付けられた車種がCR-Xだ。
初代モデルは1983年に発売された。ボディサイズは全長が3675mm、全幅は1625mmとかなり小さい。全高も1290mmと低いが、コンパクトな後席が装着されて乗車定員は4名だ。ボディサイズの割に広い室内を得るホンダの考え方をクーペボディにも反映させていた。
運転感覚は軽快で、直列4気筒1.3L/1.5Lエンジンも興味深い。発売当初は、希薄燃焼によって環境性能と燃費の優れたCVCCのシングルカムのみを搭載した。
運転の楽しさと環境性能の両立を狙っている。この考え方はクーペボディにハイブリッドのみを搭載して2025年中に発売される次期プレリュードにも受け継がれる。つまりCR-Xは、さまざまな性能を高次元でバランス良く両立させる先進的なクーペであった。
フロントマスクには、セミリトラクタブルヘッドライトが装着されている。ボンネットを低く抑えて、空気抵抗係数のCd値も0.33だ。

ボディが後輪よりも後方へ張り出すオーバーハングは短い。天井から流れる気流を利用して、ボディを下側へ押し付ける効果も得ている。

インパネの上端を低く抑えて視界が優れている。1.5iにはカラード液晶デジタルメーターも装着され、前席はバケット形状であった。

初代CR-Xは1987年に生産を終えたため、中古車はほとんどない。それだけに希少性があり、中古車価格は高い。2代目はある程度流通しており、250〜400万円で販売されている。