日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、学生時代先生からもらうのも親に渡すのもドキドキしたあの通知表廃止の動きについてです!
学期末になると手渡される通知表は、子供の学力や生活態度を数値や所見として示し、長らく当たり前の制度とされてきましたが、その通知表を低学年から廃止する動きが広がりつつあります。
岐阜県内の自治体では今年度から小学校1年生の通知表を廃止し、来年度以降は2年生まで拡大する方針を打ち出しました。さらに静岡県掛川市も2026年度から市内全校で1~3年生の通知表を廃止し、4年生についても2027年度からやめることを正式に決定しています。
通知表は法律で義務づけられていないため、導入や廃止は各自治体や学校の判断に委ねられ、すでに全国には全学年で通知表を廃止した学校も存在。教育委員会は学び始めの段階で他者との比較を避け、自分の成長を大切にしてほしいと説明し、マルの数で序列が生まれ自己肯定感を損なうことを防ぐ狙いを示しています。
しかし一方では、懸念の声もちらほら……。
「勉強や運動が得意な子は評価されたいもの。努力を数値化することは大事なことだという意見は少なくありません。競争心がなくなることで子供の伸びる力が弱まるというデメリットも無視できません。通知表は弱点を把握するきっかけにもなりますからね。数値化や評価の可視化をなくすのは、子供が自分の努力の方向性を知る機会を失わせるというリスクも指摘されています」(全国紙社会部記者)