新型コロナの感染法上の分類が、季節性インフルエンザと同じ5類になってから早2年。外国人観光客で歓楽街はにぎわっているが、意外にも「飲み屋」の倒産が後を絶たないという。

「東京商工リサーチによると、2024年度の『酒場、ビヤホール(居酒屋)』や『バー、キャバレー、ナイトクラブ』などの倒産は276件。前年度と比較すると17.4%増となり、1989年度以降では過去最多を更新しています」(全国紙社会部記者)

 このような状況になった理由としては、昨今の物価上昇と、日本を取り巻く環境の変化が挙げられる。

「円安で食材や光熱費が高騰し、人件費のアップが必須という経済的な側面。また、若年層の“飲酒離れ”や、国による補助金などのコロナ関連支援策の終了が原因と考えられています」(前出・全国紙社会部記者)

 苦境が続く飲食店業界。そんな中、都心を中心に、ママやスタッフ、お客さんの年齢層が若いスナック、『ニュースナック』と呼ばれる業態が流行しているという。

『スナック』といえば、紫煙がくすぶる店内にカラオケ機が設置され、ベテランのママを囲むようにずらりとカウンターに中高年の客が並んでいるという印象が強く、若い客層とは無縁のイメージだ。スナック誕生のきっかけを東京都立大学法学部教授で、スナック研究会代表の谷口功一氏が話す。

「1964年の東京オリンピックを前に、海外からの観光客対策として夜の街の治安改善に国が力を入れました。そこで、食事を提供しないお店の深夜営業をやめさせようとしたのです。この際、食べ物を提供する店なら深夜営業の許可が出たことから『スナック』が生まれたのです」

 この『スナック』、語源も英語で軽食を指す『snack』から来ているという。1964年の東京五輪を機に生まれたスナックに再ブームの兆しが到来したのは10年ほど前のことだという。

「『2020年東京オリンピック』の計画が出た際に、前回の東京五輪が開催された時代の文化が再注目されたのが皮切りになりました。しかし、その後に訪れたコロナ禍で飲食店自体の店舗数が激減。やっと落ち着いた今になって、若者の間で“対面で飲みたい”という気持ちが盛り上がってきた。その中で若者がレトロ文化であるスナックにも再注目したのです」(前同)