日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが “乗った・乗りたかった” あの一台をプレイバック!

カッコ良くて実用的なボディと100万円台の割安価格で若年層にも大人気

■前輪駆動の採用で車内が広く運転感覚も楽しい

 1980年代に入ると、所得や物価が上昇して、クルマの価格は相対的に求めやすくなった。当時は若年層のクルマ好きも多く、学生がアルバイトでお金を貯めて、小型車を買うようになった。

 この時代に、最も注目された車種が、1980年に発売された5代目マツダファミリアだ。4代目までは後輪駆動だったが、5代目では前輪駆動に変わり、メカニズムやプラットフォームも刷新された。

 外観は直線基調のシンプルなデザインで、ボディを前後方向から見ると、下側が広がった安定感のある台形スタイル。前輪駆動の採用で車内も広い。

 特に人気の高かったグレードは3ドアの1.5XG。後席には車内の側面から背もたれまでを滑らかにつなげた「ラウンジソファシート」を採用した。少し硬めのサスペンションによって走行安定性も優れ、峠道では進行方向が機敏に変わる。

 1.5XGの価格は103万8000円で、当時でも割安だった。人気を高め、1982年4月には、1か月間に2万台以上を登録して国内販売の1位になっている。

4代目ファミリア
4代目ファミリア

 1977年に発売された4代目ファミリアは、後輪駆動の3ドア/5ドアハッチバックだ。車両重量は今の軽自動車と同等か、それよりも軽い800kg前後。軽快な運転感覚が特徴だった。

 5代目のモデル末期には、特別仕様車のスポルトヨーロッパがターボモデルに設定された。タイヤはピレリP6で、レカロ製シートやイタルボランテのステアリングホイールなどを装着した。

5代目モデル末期
5代目モデル

 1985年に登場した6代目は、走りの機能を充実させた。1.6Lツインカムターボエンジンに、日本初のセンターデフ式フルタイム4WDを組み合わせた仕様は、スウェデッシュラリーで総合優勝に輝いた。

6代目
6代目はスウェデッシュラリーで総合優勝

 5代目ファミリアは1985年に生産を終えたので、中古車はほとんど流通していない。また現存している車両は希少性が高く、価格は150〜200万円だ。買うなら部品の供給状況に注意しよう。