■急激な体重変化は不調の原因にも…

 現役時代170kgほどあった体重は、「今は40kgくらい痩せて130kg」と本人は言っているけれど、オレだって、いまだに115kgある。たぶん、貴景勝は80kgくらいなんじゃないかな。

 引退相撲では、息子がいると、一緒に土俵に上がって相撲を取る催しがあるが、今回のプログラムに父子相撲は入っていなかった。

 現役引退後、体重を落とすことは体にいいことだ。ただ、急激に痩せると、脂肪がなくなった分、体の皮がべローンと垂れ下がって、みっともないし、思いがけない病気にかかることもある。元の師匠だった貴乃花親方も引退後に激痩せしたが、体温のコントロールがうまくいかなくて、体調を崩していた時期もあった。

 理想を言えば、1年に10kgとか、徐々に痩せていったほうがいい。貴景勝の引退で、オレの師匠である大関・貴ノ花の「貴」の字を引き継ぐ力士が、ほとんどいなくなってしまった。

 これから貴景勝が部屋の師匠になったとき、「貴」が復活するのか。「第二の人生」を応援したい。

貴闘力忠茂(たかとうりき・ただしげ)
1967年9月28日、兵庫県生まれ。二子山部屋(入門時は藤島部屋)入門後、83年に初土俵。最高位は東関脇。2000年に幕尻(前頭14枚目)で初優勝する。02年に引退し、大鵬部屋の部屋付き親方となるが10年に野球賭博関与のため日本相撲協会を解雇される。現在は焼肉店『ドラゴ』を経営。