■『最後から二番目の恋』との類似点
あん役の仲間の熱演が多くの視聴者の共感を呼んだようだ。ここまでなら夫婦の再生物語のように見えるが、公式サイトが「珠玉のホームコメディ」で「それぞれの登場人物が抱える想いや葛藤を、繊細かつ軽快なタッチで描いていく」とうたっているように、小倉夫妻にとどまらず、家族の関係でも再構築が描かれていきそうだ。
また、息子の順(小瀧)についてX上で、《あんちゃんの事より、私は順くんの心が心配。これ、心理的なヤングケアラーやん。大人は天使と思ってるけど、順くんは意識的に天使になってる。心に穴や闇があっておかしくないんよ。そこんとこは描かれるのかな》などと心配する声もあった。
指摘の通り、順が自ら「こんなに天使みたいないい息子になってしまった」とゆず(近藤)に語るなど、彼が闇を抱えていそうな描写があり、順とあんの関係が見直される展開もあるだろう。また、親に寄生すると言ってはばからない学生のゆずも、人生の決断を迫られそうだ。さらに小倉家だけでなく、永島夫妻、奈央と志保、3組それぞれの再生を描くのだろう。
あたたかい空気感、大人数でのわちゃわちゃ、その中でリアルかつ現在進行系の家族の問題をぶっこんでくる。このプロットは、今年4月期に放送された第3期が大ヒットした『最後から二番目の恋』シリーズとそっくりだ。同じ岡田脚本であり、本作はもうひとつの『最後から二番目の恋』と言えそうだ。
あんが離婚を告げてからのヒリヒリした展開の末、最後はあんが「わたしは母として生きるためだけに生まれてきたわけじゃない」などと、涙ながらに胸の内を吐露すると、3組の家族がそれぞれ心を揺らしていた。これから彼らが少しずつ変わり始め、どんな着地点を迎えるのか注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)