■元テレ朝Pが語る「厳重注意」で済んだ“裏側”――
田原氏は1987年から続く討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日→24年10月からBS朝日)などで、これまでも過激な発言をたびたび繰り返し、炎上を起こしてきたことでも知られる。そういった積み重ねがありながら、今回も「厳重注意」で済んだのはなぜか――元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、こう解説する。
「『朝まで生テレビ』や『クロスファイヤ』もそうですが、田原さんはテレビ朝日への貢献度が非常に高い方ですよね。『サンデープロジェクト』(89年4月~10年3月)などテレ朝の報道・討論番組に長年出演していた実績がありますから、局としても強く言いにくいところはありそうです」(鎮目氏、以下同)
さらに鎮目氏は、田原氏のこれまでの傾向から、「ある程度は確信犯的に暴言を言っている」と分析。
「田原さんは、昔から“炎上”を持ち味にしているとも言えるような討論スタイルの人ですよね。あえて過激な発言で相手を怒らせて、そこで失言を引き出すような時もあると。昔からその芸風だったから、今回も番組サイドは大目に見てしまい、カットせずに放送したところはありそうです。田原さんとしても、“これくらいなら”という感覚で発言したのかもしれませんが、もうご高齢ですからね……現代の空気感を見誤ってしまったのではないでしょうか」
世間から“あれが厳重注意で済むなら~”という声が上がっていることについては、鎮目氏は「もっともな意見だと思う」とコメント。
「逆に、謹慎なり出演自粛なり、何らかの処分があった方が、今後の田原さんの仕事のしやすさなどを考えても、良い気はしますよね」
最後に、今回の田原氏の件で再び話題となっているフワちゃんと田原氏の発言には、明確な違いがあるという。
「田原さんもフワちゃんも“炎上芸”というくくりでは、同じスタイルに見えるかもしれません。
しかし、田原さんの場合は、発言相手は政治家など公人ですよね。ある意味エキサイトさせて言質を引き出すことで、“そういうこと言ったじゃないですか!”と、相手の発言に重みを持たせることができる。ですが、フワちゃんはそういうこともなく、誰彼構わずという感じですよね。その違いはあると思います。
とはいえもちろん、何を言っても良いわけではないので……今回の田原さんの発言は、明らかに行きすぎではありますよね」
田原氏は次回の放送で謝罪するということだが、何を語るのか――。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)