■イメージを裏切った手越祐也
内容もそうだが、演者も素晴らしい。及川光博は裏になにかを隠した役がおなじみだが、優しさと切なさが同居したオジサンは、まさに新境地と言える。白鳥玉季もドキッとするような大人っぽい顔を見せるかと思ったら、ちゃんと中学生の顔を見せるなど変幻自在。
その演技はX上で、《ミッチー(※及川)の役は嫌味がないかんじでかわいいし見ていて応援したくなる》《本人は大真面目なのに、端から見ると最高にコミカルでキュートなミッチーに脱帽。白鳥玉季との掛け合いも見事》《白鳥玉季ちゃんは2話から少しずつ玄一に心を許して甘えてる変化の演技に脱帽。本当に15歳?》などと好評だ。
そして意外と言ったら失礼だが、手越の演技も素晴らしい。抜擢と言ってもいいキャスティングだったが、黒髪とカジュアルファッションで見事にイメージチェンジ。演技のテンションもドラマ世界にうまく合わせるよう出力調整していて、主要人物の役をしっかりまっとうしている。このキャスティングは大成功だ。
手越ファンも、《手越くんが世間で作られているイメージや、自身の個性である明るく陽気なキャラを封印し、1人の俳優として真摯に役に向き合い魅力的に演じているのに感心するな》《手越は普段のキャラとは反対の落ち着いた役柄だけど自然な演技でスッと物語に没頭できてとてもよい!》などと絶賛している。
さらに、周辺人物のキャストも、井之脇海、光石研、坂井真紀(55)、大谷亮平(45)に、最大のくせ者が麻生久美子と、盤石の布陣。玄一が訪れるパートナー相談所のカウンセラーを演じる渋谷凪咲(29)も、演技の経験は少ないが、自身のキャラを活かし、温かくてちょっと切ない物語をしっかりと支えてくれそうだ。
次回は、索(手越)は玄一(及川)とほたる(白鳥)が暮らすアパートの隅で車中泊を始め、大家・井の頭(坂井)も交えて奇妙な形での共同生活がスタートする。派手な内容ではなく、大きな話題性こそないが、じわじわと支持を拡大しそうな本作。秋ドラマのダークホースになりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。
