■朝ドラ出演のきっかけは大ヒット配信ドラマ

 バストウは過去に5回ほど日本に滞在。ホームステイ経験もある。昨年11月27日にNHK大阪放送局で行なわれた『ばけばけ』出演発表会見では、千葉や東京でホームステイしたこと、滞在先では朝食を食べながら家族と朝ドラ『ちむどんどん』(2022年前期)、『ブギウギ』(23年後期)を見ていたことを明かした。

 彼のインスタグラムには《日本で大好きな10のこと(原文は英語)》と添えて10種類のラーメンの写真が同年7月に投稿されているが、インタビューでも好きな“和食”としてラーメンを挙げ、「博多ラーメンは無敵です。大阪は金龍ラーメン? 食べたい」とコメントしている。

「バストウさんは、1767人のオーディションを勝ち抜いて『ばけばけ』出演を勝ち取りました。日本の地上波作品への出演は『ばけばけ』が初ですが、ドラマ好きの間では、英国アカデミー賞テレビ部門など多くの賞を獲得したDisney+配信ドラマ『SHOGUN 将軍』(24年)での活躍もあり、以前から知られた俳優でもありましたね」(前出の女性誌編集者)

 真田広之(65)主演の『SHOGUN 将軍』は、ジェームズ・クラベルの小説を基に脚色した、1600年の天下分け目の戦い前夜の日本が舞台の作品。

 バストウは同作で、心優しきポルトガル人司祭のマルティン・アルヴィトを好演。フランシスコ・ザビエルを連想させる剃髪姿を見せた。また、幼少期に日本に派遣された熟練通訳者という設定から、バストウの特技でもある日本語も披露した。

「『SHOGUN 将軍』の現場でバストウさんは、撮影のない日は1日8時間も日本語の勉強をしていたといいますね。

 そして、その『SHOGUN 将軍』は、『ばけばけ』に出演することになったキッカケの作品でもあります。それというのも、『SHOGUN 将軍』には日本人俳優・穂志もえかさん(31)が出演してましたが、彼女がバストウさんに、『ばけばけ』のオーディション企画を教えたことが、昨年11月の出演発表会見で明らかになっていますからね」(前同)

 穂志は、『ミスiD2016』でグランプリを獲得したことで、芸能界デビュー。多くの映画やドラマで実績を積み重ね、『SHOGUN 将軍』では誇りと高潔さを備える名家の娘・“藤様”こと宇佐見藤を熱演。米放送映画批評家賞「クリティクス・チョイス・アワード」のドラマシリーズ助演女優賞を受賞した。

 バストウは、穂志からオーディションの話を聞いたことで、『ばけばけ』制作統括の橋爪國臣氏のメールアドレスを入手。「自分も受けられないか」と日本語の文面で売り込む熱意でぶつかったという。

 橋爪氏はキャスト発表会見で演技審査を振り返り、バストウ氏を今作のテーマである「『言葉がきちんと通じ合っていなくても、心が通じている』という微妙な感覚を芝居で体現できる」「基礎的な演技力が圧倒的」と絶賛。スタッフ、審査時にヒロインに見立てた代役女性がべたぼれになったと言い、「人をほれさせる力がある。裏の会話でもナイスガイ。モテるんだろうな」と、人間性も含めて称賛していた。

「そんなバストウさんが、第5週から『ばけばけ』で活躍するということですね。すでに『ばけばけ』視聴者の間では、オープニング映像に登場する“夫婦写真”の数々が《素敵な写真》《見ていて癒される》と大好評ですし、高石さんとバストウさんが出会い、夫婦になり、その後、どんな物語を紡いでくれるのか――とても楽しみですね」(同)

 親日家で、猛勉強の末に日本語も習得。大ヒット作品『SHOGUN 将軍』での共演女優との縁で朝ドラへの切符をゲット――バストウは、“持っている男”なのかもしれない。