■考察勢を混乱させる『良いこと悪いこと』
また、《東雲がターボーの記者会見前に入場した際、何故やたら上を見ている?かつ囲み取材の時にはいないように見える》《犯人は東雲さんと見せかけての、委員長が黒幕と予測!いじめってターゲットが変わるから、どの子の前は委員長がターゲットだったのかも》など、園子(新木)の同期の記者・東雲(深川麻衣/34)や、学級委員長だった小林紗季(藤間爽子/31)が怪しいという声も。
さらに、《3話で気になったのが、狙われている6人を警察がマークしていること。この時点では、カンタローはまだ意識不明。キングは黒塗りの卒アルのことも、イジメのことも警察に話していないのでおかしい。キングの身近に警察の内通者がいる……?》など、警察を疑う声もある。
数ある考察ドラマでもかなり秀逸な本作。上記のほかにも多くの考察があるXの声を整理すると、小山(森本)は関係なさそうだが、自作自演の可能性もある。次回予告で次に死ぬ人のリストに新たに加わっている、委員長・紗季(藤間)と元担任・大谷典代(赤間麻里子/55)はつながっていそうだ。
スナック「イマクニ」の今國一成(戸塚純貴/33)と、常連客の公務員・宇都見啓(木村昴/35)はなんだか怪しい。宇都見は委員長とつながりあるかも。事件現場にやたらいる東雲は怪しい。事件を事故とする警察上層部と誰かがつながっているかも、などと、考察内容を書き出したらきりがない。もはや考察勢も迷走している状態で、制作側の狙い通りになっているようだ。
イジメの恨み、替え歌を使った見立て殺人というベタな始まりだったが、今回でそれを一度ひっくり返したため、全員が怪しい状態になってしまった。また、考察ものは怪しそうな誰かをフィーチャーして、それをひっくり返すのがパターンだが、本作はいろいろなキャラに“匂わせ”をうまくさせているので、考察の対象が広がっている。
日本テレビには過去に『あなたの番です』や『真犯人フラグ』など、考察ドラマが人気だったが、今作はこれらより、はるかに巧妙に作られている。それがTVerのお気に入り登録数の伸びの勢いや、平均世帯視聴率が前回から0.4ポイント増の5.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)でV字回復するなど、数字に出ている。
考察ものは終盤にかけ勢いが出るが、本作はまだまだ中盤だ。次回は5人目の標的と見られている、ちょんまげ”こと羽立太輔(森優作/35)がフィーチャーされるが、深刻な状況になっているようだ。また、自分の周りを黒く塗られた、園子の絵の謎についても描かれるようで、さらに勢いを増しそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)