■知事の「銃を使用しない」お願いに心配の声…陸上自衛隊に問い合わせると

 というのも、小泉大臣との会談後、鈴木知事はメディアの取材に「銃を使用しない、箱罠の設置等の捕獲駆除に対するサポートを中心にお願いをしている」などとコメントしているのだ。

 しかしネット上では、「クマ対策に自衛隊を派遣」と聞いて、猟友会の代わりに自衛隊員がクマを銃で狙撃・駆除することをイメージした人が少なくなかったようで、

《自衛隊は武器を持たずに、クマ退治に行くん? 意味ないじゃん》
《後方支援とは? 自衛隊出動なら最新鋭の兵器で駆除でしょ》
《一般市民が保持できない武器を使ってクマを退治して欲しいから自衛隊に頼んでるのに、銃を使わせないなんて何を考えているのか?》
《自衛隊がクマ被害対策で現場に派遣されるのであれば武器は携行させるべき》

 といった声が上がっているのだ。

 捕獲駆除のサポートといえど、現場の隊員がクマに遭遇する可能性は大いに考えられる。クマによる死者が続出していることを踏まえると、“丸腰”では心許ないとの声が出るのも無理はないかもしれない。

「銃を使用しない」とはいえ、そもそも何を根拠に、どのような流れで出動するのか、どのような装備で出動するか、などについて本サイトが防衛省に問い合わせたところ、以下のような回答があった。

「派遣については自衛隊法第100条の適用を検討しておりますが、それ以外の部分につきましては、県との協議を開始したところであり、お答えできる段階ではございません。秋田県における被害の状況も踏まえ、任務に支障のない範囲で最大限協力していきたいと考えています」(防衛省陸上自衛隊 陸上幕僚監部広報室・担当者)

 自衛隊法第100条には、《防衛大臣は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる》と書かれている。確かに、現行の法律では自衛隊が動物を駆除する任務がない。クマを捕獲する箱罠を仕掛けるという対策が、“土木工事や輸送事業の受託”にあたるということだろうか。

 とにかく、一刻でも早く市民の安全が守られてほしいところだ。