■国分太一vs日テレの様相のなか――「人権救済申立」の今後の行方
ファックスの文書には、記者会見を行なうと聞いているが、これ以上、関係者を傷つける行為は行なわれるべきではなく、会見を行なわないよう強く申し入れる、という趣旨の記載があったという。
また、これ以上、国分の自己保身のために関係者を蔑(ないがし)ろにする行動に出る場合、交渉を続けるのは難しいという記載もあったという。
「菰田弁護士は23日に会見を行ないましたが、日テレが事前に会見しないように“圧力”をかけていたとも受け取れることをやっていたと報じられて……事態はさらに深刻化しつつあると言えそうですね」(前出のワイドショー関係者)
事態が紛糾するなか――国分が申し出た人権救済は、今後どのような形で進んでいくのだろうか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に解説をしてもらった。
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――国分氏が日弁連に提出した人権救済申立は今後、どのような流れで動いていくのでしょうか?
「申立書が受理されると、日弁連の人権擁護委員会で『取り扱い可否』の検討(簡易審査)が行なわれます。取り扱うことが決まれば、同委員会において予備審査が行なわれ、その結果、本調査が必要と判断された場合には、引き続き本調査が実施されます。
本調査は、相手方(今回は日本テレビ側想定)への任意の照会、関係資料の収集・分析、必要に応じた和解あっせん等で組み立てられ、合議で結論(措置の要否)が決まります。事件の性質により、都道府県の弁護士会で扱うのが適切と判断されれば移送されることもあります。
期間は事件の内容により幅が大きく、日弁連の公式サイトにも、『結論まで相当期間を要し、過去には数年要した例』もあったことが明示されています。したがって、一般的な目安は『数か月〜1年以上』程度を見込むのが実務的です。
――国分氏の主張が認められた場合は、日弁連はどのような動きをしていくのでしょうか? その効果、権限なども教えてください。
「人権侵害またはそのおそれが認められた場合、日弁連は相手方に対し『警告』『勧告』『要望』『意見の表明』『助言・協力』等の措置を行います。これらに法的な強制力はありませんが、弁護士会の公的判断としての社会的影響は大きく、措置先は対応を迫られやすいのが運用実態です。
さらに、措置後は原則6か月を経過した段階で、日弁連が相手方に『どのような対応をしたか』を照会し、回答内容が不十分な場合は再照会を行うこともあります。結果として、企業側の説明や再発防止策の整備・手続見直し、第三者関与の検討などを促す効果が期待できます。
一方で、日弁連は『損害賠償の支払い命令』や『原職復帰の命令』等の直接的な強制権限は持たないため、名誉回復や経済的損失の回復を図る場合には、当事者側で民事上の手続(交渉・訴訟等)を別途選択・併行することが通例です」
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どうやら、すぐの結論は出ない模様だが、その間、国分氏と日本テレビの関係はどうなっていくのだろうか――。
●プロフィール
正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや交通事故・相続・労働問題・詐欺・薬物など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。
BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、ユア・エース公式チャンネル「ちょっと気になる法律相談」では知っておきたい法律知識を配信中。
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