■喜んでいるのは競馬ファンだけか

 頑固親父同士が対立から和解し、栗須(妻夫木)と耕造(佐藤)が仔馬のロイヤルホープと共に有馬記念で勝利を目指す流れに。ベタな展開中心で安心して見られたが、盛り上がりは今ひとつに感じた。馬をめぐる人間ドラマは熱く、牧場のシーンは馬のかわいさもあって心が洗われるが、レースシーンがなかったこともあり、どうにも物足りない回だった。

 X上では、《毎週泣かされてます。妻夫木さんサイコーですね。毎週出てくる競馬関係者(ジョッキーとか)を探すのも楽しみの一つかも》《競馬業界の光だけでなく影まできっちり描いてきてますね》《馬の名前が決定した時に感動しちゃったよ》などと盛り上がっているが、明らかに競馬ファンと思われる声が多い。

 そもそも原作あり。しかも競走馬を中心とした物語なのだから、馬を中心に展開するのは当然だ。ただ、日曜劇場定番である企業ものの要素、敵対勢力との対立などが加われば、もっと盛り上がるのかも。今のところ、社長・耕造(佐藤)と対立するのは妻・京子(黒木瞳/65)と息子・優太郎(小泉孝太郎/47)くらい。さらに会社の事情などの描写が少なく、いわゆる日曜劇場らしさに欠けている感じがするのだ。

 過去のレース映像が劇中で使用されるなど、競馬ファンは貴重な描写に沸いているが、どうも一般視聴者が置いてけぼりにされた感がある。とはいえ、次回からは待望の目黒蓮(28)が登場し、ドラマ的に盛り上がりそうな気配がある。日曜劇場として物足りない数字になっているが、はたして目黒はV字復活の起爆剤になれるだろうか。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。