■“業界トレンド”が仇になったか
スタートでつまずいた印象もある『もしがく』だが――前出の制作会社関係者は“深刻低迷”の要因のひとつとして「“早撮り”が災いしたところもあるようです」と言い、こう続ける。
「最近では、放送よりかなり前の時期にドラマを撮影する“早撮り”が業界のトレンドといいますか、普通のことになってきています。『もしがく』がまさにですが、菅田さんほか多くの人気俳優のスケジュールを調整しやすいメリットがありますよね」
『もしがく』の場合、撮影は今春にスタート。三谷氏は遅筆で知られるが、第1話開始の時点で最終回までほとんど書き終えていて、その後に微調整をしたという。三谷氏が撮影前に脚本を書き終わるのは、今回が初めて。
「ところが早撮りが災いして、テレビ界に『もくがく』の“情報”が漏れてしまった。そして、『もくがく』はフジが気合いを入れた豪華大作ではあるものの、どうやら中身は視聴者にはウケなさそう、という話が広まり、他局が自信を持って対策を打ったと聞こえてきています。『もしがく』の初回放送日には、日本テレビが同ドラマを潰しにいくような編成を組んでいましたね」(前同)
連続ドラマの初回を見逃すと、継続して視聴する気持ちが削がれてしまう。そのため、ライバル局は新ドラマの初回に強力な裏番組をぶつける傾向にある。
『もしがく』の初回放送日である10月1日、日本テレビでは、通常は9時54分に終了するバラエティ番組『上田と女が吠える夜』の2時間SP(~10時54分)を放送。同番組は5%近いコア視聴率を取り、つねに他局を圧倒している人気番組である。
「『もしがく』初回を潰しにかかった日テレに加えて、TBSでは安定した人気のバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』が『もしがく』の裏で放送されていました。そんななか、『もしがく』の初回は評判が悪かった“登場人物の説明回”になり、つまずいてしまったと。そのまま視聴者はつかず、今に至る――ということではないでしょうか」(同)
『もしがく』第5話は、WS劇場での初回公演が大コケしてしまう、という内容だった。果たして、『もしがく』の逆襲はあるだろうか――。