相次ぐクマ出没による人身被害を受け、秋田県の鈴木健太知事(50)が自衛隊の出動を要請、後方支援などを求めたのは10月28日のこと。小泉進次郎(44)防衛大臣もこれに応じる姿勢を示し、さっそく東北方面総監部の連絡員を秋田県庁に派遣するなど対応を進めている。

  ついに自衛隊まで出動することになったクマ対策。ネット上では、防衛・災害派遣が任務の自衛隊がどの法に基づいて出動するのか、武器を使ってクマを駆除できないのかといった疑問が後を絶たない。

 こうした声を受け、本サイトは法的根拠や出動時の装備について、防衛省に質問を送り、28日夕方に回答を得た。それによると、派遣の根拠となるのは自衛隊法第100条で、その他については「県との協議を開始したところであり、お答えできる段階ではございません」とのことだった。

 この100条には、自衛隊が“土木工事や輸送事業の受託”を行えると定めている。

 鈴木知事も、銃を使わずに罠の設置や輸送を要請しており、ネット上で上がっているような“自衛隊が銃を使用する”ことはないように思える。だが、「特異ではありますが、前例もありますし、銃を使用する可能性はあると思います」と語るのは軍事フォトジャーナリストの菊池雅之氏(50)だ。

「1967年には北海道で、大量発生して地元を困らせていたトドを“訓練”名目で駆除しています。このときは銃での発砲を行い、F-86F戦闘機や魚雷艇まで出撃しました」(菊池氏、以下同)
 
 さらに、菊池氏に気になる疑問を一気にぶつけてみた。

 鈴木知事は罠の設置や捕獲・駆除したクマの輸送など、武器使用を伴わない“後方支援”などを自衛隊に求めているが、これは一体どういった任務を指すのだろうか。

「想像するに県は、警察やマタギさんの車両移動といった、人員輸送などを自衛隊に求めているのではないでしょうか。自衛隊は基本的に“自治体でできることは自治体でやってもらう”という原則なので、マタギさんのように“銃を持っているから今すぐ山に入って射殺しよう”ということはできないと思います」