■東映の大物プロデューサーの意味深発言が話題に――

 ドライな表現になるが、『戦隊』は“玩具の販促番組”とも言われている。劇中に登場する数多くの変身アイテムやロボットが登場し、それを玩具として売ることで、東映やテレビ局、スポンサー企業である玩具メーカーが収益化するからだ。ゴールデンウイークやクリスマスが近づくと“新ロボ”や“強化アイテム”、“追加戦士”などが新登場するのは、そういった大人の事情も影響している。

 ところが、近年は少子化の影響もあり、玩具ビジネスが苦戦。『戦隊』商品を展開しているバンダイの親会社「バンダイナムコホールディングス」は「作品別売上高」を公表しているが、戦隊グッズの売上が100億円を超えたのは、2018年度が最後。

 これは、同年に『パワーレンジャー』の権利関係を現地のハズブロ社が買収したため、海外売上の大半が計上されなくなったことが理由とされる。『パワーレンジャー』は、日本の戦隊を一部流用して、アメリカを中心に放送されていた東映が権利を持っているコンテンツ。ハスブロはアメリカを代表する人気メーカーで、同年に版権やバンダイ製品のライセンスを獲得した企業である。

 ただ、そういった事情を差し引いても玩具販売の売上は苦戦が続いていて、近年では売上高は50~65億円付近を推移。

 2025年度の『戦隊』の売上高は64億円だが、同じく東映の人気コンテンツで、バンダイがスポンサーを務める『仮面ライダー』が307億円であることからも、ビジネスとして厳しい状況にあるのが分かる。

 そうした事情があってのシリーズ終了かもしれないが――、

「今回の報道が東映からの公式発表ではないことから、ファンからは“何かの間違いでは”“続報を待とう”という冷静な声も少なくありません。

 しかし、50年以上続いてきたシリーズの終了報道だけに、歴代作品に携わってきた戦隊OB・OGやスタッフなど多くの関係者の声が発信されていて、その中には“事故投稿”とも言える不穏な投稿もあったんですよね」(前出の特撮ライター)

『炎神戦隊ゴーオンジャー』(08年度)で“ゴーオンレッド/江角走輔”を演じた俳優・古原靖久(39)は終了報道を受けて、Xを更新。

《ついにこの時が来たか 有難うございました。50人のうち1人になれたことを誇りに思います 知ってはいたけど辛い でもライダー(仮面ライダー)も空白の時間あったからいずれは…! 近々YouTubeにて話そうと思います》

 とポストするも、すぐに削除。その後《ゴレンジャーから50年…その歴史の1人になれたことを誇りに思います 近々YouTubeで戦隊の歴史を皆と一緒に振り返ろうと思います》と、似た表現で再投稿した。

 古原が《 知ってはいたけど》という一言を消して再投稿したことにより、

《ゴーオンレッドがツイ消ししてるからガチっぽいんだよなあ》
《ネットでの情報は信じるなと言うがゴーオンレッドが言ったらそれは確定だと思っちゃうんすよ》

 と、“本当らしい”という空気が加速してしまった感がある。

 また、現行作品『ゴジュウジャー』放送前、昨年12月に東映の大物プロデューサー・白倉伸一郎氏(60)が公式サイト『スーパーせんたいフレンズ』に投稿した一文も、今となっては意味深だと再注目されている。

 当時、白倉氏は放送を控えていた『ゴジュウジャー』が50周年記念作であること、タイトルが“ナンバーワン”であることに触れて、

《自分自身がナンバーワンになるために。その積み重ねの50年。

 それでも50年目にしてナンバーワンの戦隊を宣言する。

 全ての戦隊に引導を渡す。

 記念碑というリスペクトであると同時に、墓碑という決別でもある》

 と、コメントを寄せていた。今回の報道でこの“墓碑”という発言が再注目されていて、

《全ての戦隊に引導を渡す」「墓碑という決別」ってのがなんか引っ掛かってたんだけど、文字通りだとは思わないじゃん…》
《白倉Pのゴジュウジャーは墓碑発言、比喩じゃなかったのか...?》

 など、“終了を示唆していたのか”という声が多く寄せられているのだ。

 一方で、

《俺は白倉が墓碑をブチ壊しながら来年からはスーパーを超えたハイパー戦隊とか言い始める可能性に賭ける》
《だいたい東映がそういう節目みたいなやつをネタとして擦らないわけなくないか?俺はそういう意味で東映信用してんだ》
《まだ公式発表ないからアレですけど、テレビでは終わるけど別媒体で…みたいなやつを期待します》
《『ゴジュウジャー』からYouTubeチャンネルで準新作配信を始めたのも大きな変化だったと思うんだよね。(『仮面ライダーゼッツ』も半年遅れで始めた)テレ朝・東映体制からの変化が"スーパー戦隊シリーズ"の終わりであるのかもね〜》
《再放送で2年ほど建て直しと再構築して、ミラクル戦隊とかハイパー戦隊とかはじめる、他局で、はまああり得る》

 といった、あくまでも現在の放送体制が終了するだけで、何らかの形で再始動するのでは、と希望的観測を抱くファンも多い。

「近年では、Netflixなど配信メディアが地上波ドラマを上回る勢いになっていますし、東映にも有料配信サービス『東映特撮ファンクラブ』がありますからね。

 それに、同じ特撮作品で言えば、『仮面ライダー』はテレビ朝日、『ウルトラマン』はテレビ東京で長年放送されていますが、過去には2番組ともTBSで放送されていたし、10年以上新作が放送されない時代さえありました。『戦隊』も、一度終わったとしても、その後、別の形で再始動する可能性はあるのではないでしょうか……」(前同)

 東映の公式発表はまだだが……1つの歴史が終わろうとしている――。