相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
10月15日から開催された、「大相撲ロンドン公演」。オレが現役力士だった1991年以来ということもあって、連日満員。大盛況のうちに幕を閉じた。
大の里と豊昇龍の両横綱が、仲良くホットドッグを食べたり、平幕・阿炎が、ビートルズの「アビーロード」のジャケットさながらに、横断歩道を歩いてみたり……。各力士も楽しんでいたようだったね。
そんな折、「角界パワハラ報道」が流れてきた。
昨年10月、「秀ノ山部屋」を新設した元大関・琴奨菊が、部屋のマネージャーに対して、パワハラを働いたというのだ。
元マネージャーは、「秀ノ山親方からのパワハラで精神を病み、適応障害を患いました」として、法的措置も検討しているのだという。
内容はこうだ。力士引退後、別の仕事についていた高木氏(仮名)は、秀ノ山親方からの要望を受けて、今年5月よりマネージャーに就任。ところが、そこから3か月半のうち、休みは6日のみ。給料は18万円だったが、社宅費と社会保険料などを引くと、手取りは7万円ほどだった。
さすがに疑問を感じた高木氏が、おかみさんに退職したい旨の相談をするもスルー。その後、親方、おかみさんは「辞めるなら、社宅代の残り20か月分を支払うこと」と言い、それが無理だと分かると「リフォーム代を120万円支払うように」と言ってきたという。
実は、この話は「ドラゴ」で働いている元琴貫鐡から、聞いていた。高木氏も以前は佐渡ヶ嶽部屋に所属していた力士で、琴奨菊の付け人を務めていた人物。ひと言で言えば、「また、佐渡ヶ嶽部屋か」って感じだね。