菅田将暉(32)主演、三谷幸喜氏(64)脚本によるフジテレビ水10ドラマ『もしもこの世が舞台なら、 楽屋はどこにあるのだろう(『もしがく』)』の第6話が、11月5日放送される。

 放送前は大注目の作品だった『もしがく』には、《何本かドラマを見てるけど、もしがくが一番面白い》《回を追うごとに引き込まれていく》など好意的な声も多く寄せられているが、数字は非常に厳しい状況にある――。

【以下『もしがく』ネタバレを含みます】

 同ドラマは、1984年(昭和59年)の東京・渋谷「八分坂」(架空の街)を舞台にした青春群像劇。主人公は横暴すぎて劇団から追放された、蜷川幸雄に憧れるシェイクスピア好きの演出家の卵・久部三成(菅田)。彼がストリップ劇場「WS劇場」でダンサーをしている倖田リカ(二階堂ふみ/31)と出会い、そこで働くことになるが、劇場は採算が取れておらず、さらに風営法の改正によって閉鎖寸前の状態。久部は起死回生の一手として、「WS劇場」のメンバーでシェイクスピアの『夏の夜の夢』を上演することに。しかし、初日公演は大スベリしてしまい――というのが、第5話までの流れ。

 そんな『もしがく』は、ヒットメーカー・三谷氏にとって25年ぶりとなる民放GP帯連ドラ脚本作品として注目されていた。キャストも主演の菅田や二階堂、神木隆之介(32)、浜辺美波(25)のメインどころ以外にも、戸塚純貴(33)、アンミカ(53)、市原隼人(38)、小林薫(74)、菊地凛子(44)、坂東彌十郎(69)、堺正章(79)、井上順(78)、富田望生(25)、小池栄子(44)などなど、20人以上の豪華キャストを起用。撮影のためだけに千葉県に80年代の渋谷のオープンセットも組まれ、フジテレビが大勝負に出ている感のある作品だ。

 しかし、初回(10月1日放送)が30分拡大SPでありながら終始登場人物の説明だけで終わった感もあり、視聴者から厳しい声も噴出。初回の視聴率は、世帯視聴率5.4%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)、テレビ界が重視している個人視聴率とコア視聴率(13~49歳の個人視聴率)は、3.1%と1.5%と振るわず、以降も低迷。第4話(10月22日)の視聴率は世帯3.7%、個人2.2%、コア1.0%。第5話(10月29日)の視聴率は世帯3.8%、個人2.1%だった。

 見逃し配信・TVerのお気に入り登録者数も、今期のドラマで12位の56.9万人(4日時点)。1位の夏帆(34)と竹内涼真(32)が主演する『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)は144万人 なので、87万人超の大差が開いてしまっている。

「『もしがく』には熱心なファンがいる一方で、“離脱してしまった”という声も多いですね。視聴率やTVerの数字からも、“見られていないドラマ”であることは事実ですよね……。

 そして、数字は良くないのに好意的な声が一定数あるということは、ハマる人とハマらない人がハッキリと分かれているということかと。その理由としては、『もしがく』のジャンルと舞台が、ニッチなことも関係していると見られています」(テレビ誌編集者)

『もしがく』で力を入れて描かれているのは、大きく分けると1980年代の“夜の渋谷”、シェイクスピア演劇、小劇場ブームの3つ。特に後者の2つは、娯楽作として現代の若い視聴者が前知識なしで楽しむには、題材がマニアックすぎるところがあるだろう。

 また、劇中の舞台である1984年――約40年前の“夜の渋谷”をリアルタイムで経験した人は、現在50代後半から60代だと見られる。『もしがく』のメインキャストは菅田を筆頭に30代前半のキャストが多いため、その部分でも“ミスマッチ”が生じているのかもしれない。

「シェイクスピアや小劇場が好きな人にとってみれば、とても良くできているドラマだからこそ好意的な声は少なくない。しかしそれらは、大多数の人にとってはマイナーなジャンルでもありますよね。そのために『もしがく』にハマらない人の方が多く、数字がどうしても伸びないのかもしれません。

 また、『もしがく』は早撮りで制作された作品ですが、それによるデメリットが影響しているのでは、と見る向きもあります」(前同)