■経済的な現実とも関係
また、恋愛を優先しない若者の価値観は、親との同居や生活費の分担など、日常生活の合理化や経済的な現実とも関係しています。親との同居や友人との関係を重視することで、恋愛に伴う感情的なトラブルや時間的・金銭的な負担を避けつつ、自分なりに充実した生活を送る若者が増えているのかもしれません。
ネット上でも、《社会人5年目だけど、みんなどうやって恋愛してるのかわからん》《どんなに頑張っても彼女できないから疲れちゃった…》《結婚を意識する=責任をもって付き合うこと。結婚する覚悟のある相手の方がwin-win》《恋愛は選ばれし者だけの娯楽になっちゃったね》《職場で彼女いないのを不思議がられる。交際や結婚して一人前みたいな風潮はダルい》《昔は女子大生の集まりで恋バナばかりだったのに、今は光熱費や家賃の話ばかり》といった声が聞かれ、恋愛離れの傾向が如実に表われています。
「恋愛や結婚をすべての幸せの基準にしないという意識は、恋愛に前向きになれない心理と重なり、交際経験ゼロの増加に拍車をかけているようです。結果として、恋愛は必須の選択肢ではなくなり、自己成長や生活の安定を優先するライフスタイルが広がっていると考えられます。とりわけ、今の20代が興味を持っているのは“未来の自分”だけ。目標はFIRE(経済的自立と早期リタイア)で、日々の行動指針はタイパ(タイムパフォーマンス)という人も少なくありません。そのため、恋愛に全力を注ぐことが“無駄”に感じられてしまうのでしょう。若者の恋愛や結婚に対する行動や価値観を理解するには、まずこの現実を踏まえたうえで、押し付けではなく多様な選択肢を認める社会のあり方を考えることが大切かもしれません」(生活情報サイト編集者)
恋愛をするかしないかは、個人の生活や価値観に合わせて選べるものになってきているようです。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。