■クマに遭遇したらどうする?

 まさに全面対決の様相を呈してきた、人類とクマとの攻防。今後、どのような対策が求められるのか。

 野生動物の生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹氏が話す。

「クマの個体数を減らしていくしかない。今の有害駆除という方法では、あふれ出た個体を捕っているに過ぎません。これだと山の中のクマの数は減っていかない。我々が山の中に入っていくしかないんです」

 現在、市中へとクマが出現した場合、捕獲作業を猟友会に頼んでいるケースが多いが、このやり方に大西氏は異を唱える。

「猟友会の方たちは自分の趣味や収入のために山に入っているのであって、地域住民の安全を守るというミッションは持ち合わせていない。

 自治体職員としてクマの捕獲を行う“ガバメントハンター”の存在が求められているんです」(前同)

 これらの声を受け、新方針を打ち出したのは警察庁だ。

「警察官によるライフルを使用したクマの駆除に乗り出すと、11月4日に発表した」(全国紙社会部記者)

 それでも運悪く街中でクマに遭遇した場合、どのような行動を取るのが良いのか。小池氏が指南する。

「クマの被害で最も多いのは出血死なんです。命を守るためにも、首の後ろに手を回し、うつ伏せの状態になって、太い血管を守りましょう」

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