日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。11月23日のマイルCSではマジックサンズに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。

(2025年11月10日寄稿)

 天皇、皇后両陛下が主催される『秋の園遊会』にお招きいただき、競馬サークルを代表し、夫婦で参加させていただきました。

 ふだん、GⅠレースを前にしても緊張するということはないんですが、さすがに、この日は、いつもと勝手が違いすぎて、朝からそわそわしていました。

 お話をさせていただいて、とにかく驚いたのは、陛下をはじめ皇后様も愛子様も大変、競馬にお詳しいご様子だったことです。

 まさか陛下の口から、「土曜のアルテミスステークスは白毛のマルガでしたね」というお言葉が飛び出すとは、夢にも思っていませんでした。

 しかも続けて皇后様が、「マルガのいとこにあたる白毛の馬が、こちらの皇宮警察におります」とおっしゃったときには完全に、「えっ、えっ!?」です(笑)。

 さらに、ドウデュース、ディープインパクト、スペシャルウィークなど、僕にとっては盟友とも言うべき名馬の名前を次々に挙げられたときには、驚きを通り越し、ただただ、嬉しさでいっぱいでした。

 小さい頃から馬に親しまれてきたという愛子様とは、愛馬の日に馬事公苑に来苑されたときのお話や、馬のスピード、トレーニング、騎乗時の姿勢などについてお話しさせていただきましたが、本当に馬がお好きなのが伝わってきました。

 両陛下、愛子様とお話しさせていただき、改めて、いつ、どんなレースでも全力騎乗を心に誓うと同時に、最高のタイミングで天皇賞(秋)に参戦できることが、これまで以上に楽しみになりました。

 パートナーはもちろん、宝塚記念を勝ったメイショウタバルです。