高石あかり(22)が主演を務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』。同作は大阪制作の朝ドラということもあり、コミカルなシーンが多い一方で、それでも隠し切れないほどの“壮絶さ”が日を追うごとに増している――。
【以下『ばけばけ』ネタバレを含みます】
『ばけばけ』は、日本の民話を『怪談』という名の文学作品へ昇華し世界へ広めた明治時代の小説家・小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルにした物語。高石がヒロイン・松野トキを、バストウが、八雲がモデルのレフカダ・ヘブンを演じる。
同作では、序盤から“トキの家が借金まみれになり小学校に通えなくなる”“松野家に婿入りした銀二郎(寛一郎/29)が、あまりの貧窮ぶり、トキの祖父・勘右衛門(小日向文世/71)らの理不尽な重圧から失踪してしまう”など、史実に基づいた重いエピソードが続いてきた。
「『ばけばけ』では、銀二郎はトキに未練があり、あと少しで復縁の可能性もあったけど――という感じで破局しましたが、これはフィクションだからこその描かれ方。史実では、セツの最初の夫・為二は大阪まで追いかけに来たセツを冷たい言葉で拒絶し、セツは衝動的に身投げしようとするも踏みとどまって――という記録が残されています。
そんな『ばけばけ』を巡って、第6週(11月3日~7日)から特に注目を集めているのが、北川景子さん(39)と板垣李光人さん(23)の雨清水親子です」(女性誌編集者)
主人公・トキの実家・松野家の親戚である雨清水家は、かつて地元の名家だったが、当主の傳(堤真一/61)が亡くなり、彼が運営していた織物工場が閉鎖されたこともあり、現在(1890年)は没落。傳の妻でトキの実母でもあるタエ(北川)、三男・三之丞(板垣)は住むところもなく、破(や)れ寺に身を寄せる苦しい生活を強いられている。
なお、雨清水家の長男・氏松(安田啓人/26)は工場が経営不振の時に失踪し、行方不明に。次男・武松は、本編前に死亡している。
「タエのモデルは、セツの実母・チエ。三之丞のモデルは、セツの2歳下の弟・藤三郎です。『ばけばけ』では、11月5日放送回から、タエがボロボロの姿で物乞いとして再登場するという衝撃的な展開が描かれました」(前同)
タエと三之丞は、当初は親戚の家に身を寄せていたが、そこも貧しく、金を入れなければいけなかった。しかし、三之丞はタエに「雨清水家の人間なら人に使われるのではなく、人を使う仕事につきなさい」と言われ、結果、金を入れられず追い出される羽目に。タエも、「働くくらいなら」と言う理由で物乞いとなった。タエは当初、プライドの高さから施しを受けても頭を下げなかったが、7日放送回では、さらに身なりがボロボロに。ついに虚ろな目で頭を下げる、という痛々しい姿が描かれた。
制作統括の橋爪國臣氏によると、物乞いに身を落としたタエの容姿には北川のアイデアが入っているという。橋爪氏が《やりすぎじゃないですか》と思うほど、身なりを汚して、気合いを入れて撮影に臨んだとコメントしている。
一方、三之丞は、商人の家を回り直談判する“就活”こそしているが、どこへ行っても“社長にしてほしい”と主張して相手を怒らせ乱暴に追い出される、という有様。視聴者からも《世間知らず過ぎる》《自分の状況が分かっていない》という声が出ているが――、
「これから先の史実を考えると、タエ以上に三之丞がかなり悲惨な末路をたどることになると見られています。現状でもすでに、史実よりもだいぶ美化されて描かれているところもあって……」(同)