■世界陸上で厚底シューズが席巻!

 先日、東京で34年ぶりに開催された世界陸上のマラソンにおいても、選手の足元に注目が集まりました。高反発の厚底シューズを着用する選手が多く、近年のシューズ競争の激化を示しています。

 出場選手の約3分の1の選手がアシックス製シューズを着用。女子マラソンで7位入賞の小林香菜選手、男子マラソンで日本勢トップ11位の近藤亮太選手もアシックスを履いていました。さらに厚底スパイクは短距離にも応用され、桐生祥秀選手など日本のトップスプリンターが着用しています。

「アシックスは契約選手が少なかった中、信頼してくれた選手の期待に応えるべく短期間でサンプルを作り、選手の反応を確認。それを基に改良されたシューズは、今回の世界選手権でも使用されました。2021年の箱根駅伝での屈辱をバネに国内外で着用率を高めたことは、メーカーの技術力とブランド力の両方を示す重要な成果と言えます」(前出のスポーツライター)

 ネット上では「日本ブランドが世界舞台で存在感を示してうれしい」「厚底でも走法に合わせた靴を作る発想がすごい」「これで国内選手のメダル争いも楽しみになった」といった声が上がっています。

 ランニングシューズはメーカーがわずか0.01秒を削るため、技術と戦略で鎬を削り合う世界。今後も各社が投入する次世代モデルや新素材が、トップアスリートの記録更新や市民ランナーの走行にどこまで影響を与えるか注目されそうです。

戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。