「同年代の正統派女優として両者とも期待感は大きかったのですが、ここにきてすっかり明暗が分かれてしまった感じですよね……」

 芸能プロ関係者がそう指摘するのは、現在放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』で主演を務める高石あかり(22)と、一部では芸能界引退説もささやかれてしまっている飯沼愛(22)のことだ。

 高石は2014年に芸能界入りし、19年から本格的に俳優業を開始。主演映画『ベイビーわるきゅーれ』(2021年)がシリーズ化したり、昨年だけで5本の映画に出演するなど、映画好きの間では知られた存在だった。

 そして、朝ドラ『ばけばけ』主人公を務めることになり、知名度は急上昇。ヒロインオーディションは、朝ドラ史上3番目に多い2892人。高石は3度目の挑戦で、朝ドラヒロインの座を勝ち取った。9人が残った最終オーディションでは、審査員が満場一致で高石を選んだという。

 高石主演の『ばけばけ』は、日本の民話を『怪談』という名の文学作品へ昇華し世界へ広めた明治時代の小説家・小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルにした物語。高石がヒロイン・松野トキを。トミー・バストウ(34)が、八雲がモデルのレフカダ・ヘブンを演じる。

「高石さんの『ばけばけ』主人公起用が発表された際には“誰?”という声もSNSに多く寄せられていましたが、実際に放送が始まると、映画界で培ってきた圧倒的な演技力が爆発。コミカルなシーンからシリアスなシーンまで、セリフ回しだけでなく表情や細かな仕草をしっかりと表現し、多くの視聴者をひきつけていますよね。映画の仕事なども、朝ドラの主演に集中するために一切入れていないといいますね」(前同)

『ばけばけ』での高石は、生みの親であり、かつては地元の名士の家柄だったタエ(北川景子/39)が没落し、物乞いに身を落としていた姿を発見した際の愕然とした表情、自分が女中とは名ばかりの妾としてヘブンに雇われたと勘違いし、常に気が気でない姿などを熱演。ヘブンとの“誤解”は11月13日放送回で解消したが、ヘブンが釈明する際に辞書を見ながら「ダキタクナイ」と言われ「え、いや……それはそれで失礼だけん!?」と、怒っていいのか安心していいのか分からない、やり場のない絶妙なニュアンスをコミカルに表現してみせた。

 そんな高石の高い演技力に、視聴者は沸騰。

《高石あかり、家族を前に辛さと恥ずかしさで一瞬でぶわっと涙がこみ上げてくるのに、次の瞬間に「それはそれで失礼じゃろ」って笑わして。ホンマに上手いと思う》
《(※事情を知らない家族に)こんなに優しくおかえり言われたら安堵で泣き崩れてしまいそうなところをぐっと耐えたおときちゃんを圧倒的演技力でこなす高石あかりという名女優よ》
《プライドを捨てて震えながら頭を下げるタエさま(実の母親)を見て、なんとも哀しそうな表情をして、数秒後にはヘブン先生の女中をしようと決意した顔をなるおトキちゃん。台詞無しでも心の中が分かる、髙石あかりさんの演技力が光るシーンであった》

 など、多くのシーンで彼女の演技力を絶賛する声が寄せられている。

 ちなみに、朝ドラを巡っては、『ばけばけ』の直前作が今田美桜(28)主演の『あんぱん』であることから、9月23日には高石と今田のバトンタッチセレモニーが行なわれたが――、

「高石さんは、Snow Man・目黒蓮さん(28)主演の映画『わたしの幸せな結婚』(2023年)で、今田さん演じるヒロイン・美世の異母妹・香耶を演じ、当時20歳ながら圧巻の演技力で、やはり注目されました。同映画は“和風シンデレラ”とも言える作品ですが、高石さん演じる香耶の、美世に対する仕打ちはとにかく憎々しくて……。

 後に高石さんは『第15回TAMA映画賞 最優秀新進女優賞』を受賞しましたが、『わたしの幸せな結婚』での素晴らしい演技も、受賞理由の1つでしたね」(映画ライター)