■加齢で頻尿になるのは仕方がない!?

 寒さだけでなく、加齢に伴いトイレの回数は増えていく。その原因について、プライベートケアクリニック東京・東京院院長の小堀善友氏は“膀胱の衰え”を指摘する。

「年齢を重ねると、膀胱筋や神経機能が低下します。

 それによって、膀胱の容量が小さくなったり、尿意が急に来て、我慢できなくなる『過活動膀胱』が発生しやすくなるんです」

『過活動膀胱』も、日々の食事によって改善される。

「頻尿や排尿トラブルのケアに、ヨーロッパでは古くからカボチャの種が用いられてきました。リグナン類や植物ステロールといった成分が含まれており、膀胱の筋肉の働きを調整してくれます」(前出の磯野氏)

 ブロッコリーやナッツ類もこれらの栄養素を多く含むので、オススメだ。

 さらに、現代人にならではの“尿意のトリガー”もあるという。

「加齢による心血管機能の低下や、水は低きに流れるために日中の姿勢が原因で足のむくみが起きやすくなり、夜に横になったときに、下肢に溜まった水分が血管に戻ってきて尿の量が増えてしまうんです。

 夕食の塩分を減らしたり、就寝前のアルコールやカフェインは控えることも大切です。」(前出の小堀氏)

 さらに、体内の水分の循環を促す運動として、磯野氏は“つま先立ち”を推奨する。

「日中に適度な運動をしてふくらはぎの筋肉のポンプ機能を取り戻すことが大切です。壁や椅子の背もたれに手を添えて、ゆっくりと両足のかかとを上げ、つま先立ち。その状態を数秒キープし、ゆっくりとかかとを下ろす。この運動を20~30回程度行います。下半身のむくみが改善されます」(磯野氏)

“眠れない夜”に悩む前に。今日からできる小さな工夫で、ぐっすり眠れる夜を取り戻そう。

磯野誠(いその・まこと)
所沢いそのクリニック院長、泌尿器科医。医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医などの資格を持つ。年齢や性別を問わず患者が元気で豊かな生活を送るために医療・衛生の側面からサポートを志す。趣味は研究活動とアコーディオン。

小堀善友(こぼり・よしとも)
プライベートケアクリニック東京 東京院院長。男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症を専門とする泌尿器科医で、著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』『妊活カップルのためのオトコ学』『泌尿器科医が教える正しいマスターベーション』などがある。またメディアでの執筆・出演も多数こなす。