■ゆるキャラの次は「ショート動画」…共産党の新戦略
いったい、どのような経緯でこの個性派ゆるキャラ軍団は誕生したのか? 共産党広報部の担当者を直撃すると、まずはカクサン部の狙いから解説してくれた。
「カクサン部が生まれたのは2013年の夏、ネット選挙の解禁を受けてのことでした。残念ながら共産党は、“お堅い”というイメージを世の中から持たれておりまして。そんな共産党から親しみのあるゆるキャラが登場したということで、大きな反響が寄せられたんです。雇用のヨーコなどは宣伝局の担当者がコスプレして演説会場に現れ、そこで喝采も浴びていましたね」
驚くことに、8人の部員たちそれぞれに別の「中の人」がいるのだという。キャラクターを作る際もデザイナーと共産党員が話し合いながら細部を詰めていった。「反原発のキャラも作ってほしい」「子育てに関しては大家族のママがいい」など、共産党サイドからもかなりアイディアが出されたそうだ。
「党として一番やってよかったなと思ったのは、さまざまな質問や意見がネットを通じて寄せられた点です。それらの疑問に対して個別のキャラが回答していくという流れを作ることができたんですね。ネットの双方向的な特性がうまく活かせたと言いますか」(共産党・広報部担当者=以下同)
回答者がゆるキャラとはいうものの、質問自体は鋭いものが多かった。「共産党は本気で政権を獲る気があるのか?」「共産党は大企業を敵視しているようだけど、それでは経済が回らないのではないか?」「アメリカとはどう付き合っていくのか? 今の中国をどう捉えているのか?」「憲法違反と言うけど、現実問題として今の自衛隊をどうするのか?」などなど……。
そして最近の共産党は、ゆるキャラとは別のものにも力を注いでいるという。それはショート動画の配信だ。こちらに関してはキャラクターなどは登場せず、ストレートに国会での論戦を15秒程度にまとめている。
「若い人たちに党のメッセージをどう届けるのか? そのひとつのアプローチとしてカクサン部のゆるキャラたちがあったわけですけど、今は時流的にもショート動画の影響力が大きくなっていますからね。もちろん扱うテーマは沖縄、反原発、子育て・教育、憲法など大きく変わらないのですが。これからも時代の流れに合わせながら、党としての考えを発信していきたいと考えています」
少しでも国民の支持を勝ち取るためにどうすればいいのか? そこで頭を悩ませているのは共産党以外の政党とて同じはず。決してゆるくはない、選挙以外の熾烈なバトルが各党のキャラクター間で勃発していたようだ。