日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが “乗った・乗りたかった” あの一台をプレイバック!

日本初の1.3Lツインカムを搭載して峠道の走りが抜群に楽しい

■低価格で運転の楽しいコンパクトスポーツの先駆け

 スズキカルタスは、1983年に登場したコンパクトカーで、今のスイフトの前身だ。

 当時のスズキはGM(ゼネラルモーターズ)と提携しており、カルタスは、北米ではGMのシボレー・スプリント、ポンティアック・ファイアーフライなどの車名で販売された。低燃費と低価格が特徴で、海外市場の人気も高かった。

 そして当時の日本メーカーは、コンパクトカーに動力性能の高いエンジンと硬めの足まわりを組み合わせて、運転の楽しい安価なスポーティカーを開発していた。

 その先駆けとして1984年にカルタスターボが加わり、1986年にはカルタスGT-iが登場した。GT-iのエンジンは直列4気筒1.3Lで、この排気量では最初のツインカム(DOHC)を採用する。

 最高出力は97馬力(6500回転)、最大トルクは11.3kg-m(5500回転)の高回転型だ。5速MTを駆使して、エンジンをビュンビュン回しながら峠道を走ると、とても楽しいクルマであった。

操作性に優れたシンプルなインパネ

 水平基調のシンプルなインパネで、メーターの両脇には、ワイパーなどのスイッチが装着される。エアコンやオーディオは、左手を自然に伸ばした位置にセットされて操作性が良い。

座り心地の柔らかいシート

 シートの座り心地は、スポーツモデルでは柔らかい印象だった。それでもサイドサポートが大きめに張り出して、体をしっかりと支えた。

 GT-iに限らず、カルタスの中古車は、ほとんど流通していない。コンパクトカーでは販売台数が少なく、車種の認知度も低かったからだ。スイフトになって売れ行きが伸びた。