日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。11月23日のマイルCSではマジックサンズに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。

(2025年11月17日寄稿)

 秋華賞、菊花賞、天皇賞(秋)を3連勝。「ちょっと勝ちすぎやろう」と言いたくなるほど勝ちまくっている、最高のライバルであり、大切な友でもあるクリストフ(ルメール)が、『競馬を、日常に。』をコンセプトにした『CL FASHION&CAFÉ』を、第二の故郷という京都にオープンさせました。

 2フロア構成の広い店内には、トロフィーや勝負服の他に、ハロン棒があり、ジョッキールームのロッカーの雰囲気がよく出ていて、競馬ファンはもちろん、そうじゃないという人たちにも楽しんでいただけるお店になっています。

 いつか、ショップカフェをやってみたいという話は、以前から聞いていましたが、まさか、こんなステキなお店だとは……。僕の想像を超えていました(笑)。

 馬を見て楽しむ。馬券を買って楽しむ。レースを楽しむ。競馬ゲームを楽しむ……競馬には、いろんな楽しみ方がありますが、今回、クリストフが作り上げたお店も、その一つです。

 アーモンドアイをモチーフにしたクッキー付きのクリームブリュレに、レイデオロをテーマにしたスイーツ……。楽しそうだし、おいしそうでしょう? ぜひ一度、新しい競馬カルチャーを堪能してください。

 それでは騎乗馬です。11月16日のエリザベス女王杯から7週連続、GⅠ開催という怒涛の戦いが続きますが、11月23日は、その第2弾、京都を舞台にしたマイルチャンピオンシップです。

 父・武邦彦との親子タッグで制した高松宮記念の優勝馬、バンブーメモリーで挑んだ2度のレースは、1度目はオグリキャップに、2度目はパッシングショットの前に涙をのみ、いずれも2着。

 初戴冠を賭けた2003年のファイモーションは、デュランダルに3/4馬身かわされ、06年のダンスインザムードは、ダイワメジャーにクビ差届かず、またもや2着。僕にとっては、少し縁の遠いGⅠでした。

 初めて栄冠を手にしたのは、12年のサダムパテックで、翌13年はトーセンラーで連覇。人というのは、いい加減なもので、この連覇で、一気に験のいいレースに変わりました(笑)。