阪神タイガースのレジェンド、“ナニワの春団治”こと川藤幸三が猛虎愛を語り尽くす熱血コラム。OB目線の激励から時には喝も……熱き魂が炸裂する!

  ワシはメジャーの試合には、それほど関心ないけど、ドジャースの山本由伸の奮闘は見事やったな。昭和のプロ野球を見たような気がする。あの時代のエースと呼ばれたピッチャーは、みんな山本のように勝利のために体を張ったもんや。

 西鉄ライオンズの稲尾和久さんなんて、巨人相手の日本シリーズで4連投4連勝の離れ業をやってのけたからな。しかもシリーズ7戦のうち、6試合に登板した。今とは野球に対する考え方がまるで違うから、一概に比較はできんけど、こんなピッチャーはもう二度と現れんやろう。

 さらに、山本の試合後のコメントにも共感した。

「野球少年に戻ったような気持ちでした」

 素晴らしいやないか。いつの時代にあっても、これが野球の原点やと思う。確かに野球少年だった頃の純粋な気持ちが、第7戦までもつれた激闘の勝敗を分けたのかもしれん。

 メジャーのワールドシリーズもおもろかったけど、日本シリーズも勝敗以上に中身は濃かった。

 結果だけ見れば、タイガースは1勝4敗でソフトバンクに屈した。それでも全5試合のうち、4試合は1点差のゲームやったからな。勝負は紙一重だったと言う人も、ソフトバンクとの差は点差以上にあったと言う人もおるやろう。