■『良いこと悪いこと』いじめは犯行動機ではない?
もともと、小学生のときのイジメが動機で人を殺すかという疑問があった。なにか事情があるにせよ、イジメを見ないふりをしていた校長を殺すというのもやり過ぎ感がある。イジメ以外に事件を起こす要因があるはずで、もし薬物の売買で多額の金が動いていたとして、そのトラブルがもとなら殺人まで発展するのも納得できる。
最初の被害者である“貧ちゃん”こと武田敏生(水川かたまり/35)は薬剤師。2番目の“ニコちゃん”こと中島笑美(松井玲奈/34)の彼氏は、違法薬物を取引している疑いがあった。3番目の“カンタロー”こと桜井幹太(工藤阿須加/34)は、それに巻き込まれたのかもしれない。イジメより、薬物が浮かび上がってくるのも納得の伏線だ。
一方で、タイトルの『良いこと悪いこと』は、「“良い子”と“悪い子”と」であり、X上では、《キングは二重人格(良い子と悪い子)で、奥さんが段々それに気づいてるから毎回微妙な表情してる気がする。1話冒頭で禁煙って子供に注意されるけどやめないのも、福神漬けで奥さんが不思議そうな顔するのもそれかなと》などの指摘も出てきた。
主人公が犯人というのも、良いことと悪いことがねじれていて、本作のテーマにハマっている。高木(間宮)の二重人格は薬物によるもので、売買にも絡んでいるキングが関係者を殺しているのなら、上記考察のタバコへの態度も、高木の妻の福神漬への反応も、これで説明できる。良いキングと悪いキングが同時に存在して、犯罪に手を染めているとしたら――。
今回の委員長をはじめ、連続殺人の犯人には、ミスリードが多いこともあり、視聴者の間でさまざまな説が唱えられている。次回は、仲良しグループの7人目がフィーチャーされ、それに“ちょんまげ”こと羽立太輔(森優作/35)が絡んできそうだが、はたして真相は――。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。