■ヒカルを取締役起用の背景を後方に直撃、SNSの反響については……

 賛否さまざまな意見が渦巻いている今回の取締役就任について、企業側にはどのような思惑があるのか。本サイトが「ナポリの窯」を運営する株式会社ストロベリーコーンズに問い合わせると、広報担当者が答えてくれた。まずは、同社が抱えていた課題について。

「弊社は、創業者の他界後、ブランド再構築を最重要課題としてきました。宅配ピザ市場は競争が激化し、従来型の施策だけでは成長の限界が見えている状況でした」(広報担当者、以下同)

 創業者が生前に残した願いは、「ナポリの窯をNo.1ブランドへ」──。これは現場の総意でもあるという。今回、それを実現するためにヒカルを取締役に迎えたわけだが、その抜擢理由について聞くと、

「飲食チェーン再生の“実績”、若年層〜広範囲へ届く“影響力”、企画と売上を直結させる“実行力”、変革を恐れない“スピード感”、これらを兼ね備えた人物が不可欠でした」

 ヒカルといえば、大手ファミレスチェーン「ジョイフル」とコラボした“実績”もある。さまざまなメニューを手がけた「ヒカルが考案 冗談抜きで旨いシリーズ」の累計販売数が800万食を突破(2023年)した。

「今回、取締役に就任したYouTuber・ヒカル氏は、コロナ禍で飲食店が極めて厳しい状況にあった時期にも、大手ファミレスチェーンの再建に関わり、『食×エンタメ』の力で客足が戻りにくい環境でも需要を創出してきた人物です。弊社が描く再建構想との親和性は非常に高く、未来への舵を切るパートナーとして最適だと判断し、取締役としてお迎えいたしました」

 と、起用の背景を明かした。起用直後から大反響だったようで、就任発表後の2日間でUber Eatsの全体注文数が前週比250%超、最大2000%超えの店舗も発生。公式サイトのアクセスも前週比200%超えだったと手応えをにじませている。

 しかし、今回の就任に対して、SNSでは厳しい意見が目立ったのも事実。

「社外からは、驚き・期待・応援・厳しい指摘まで、非常に幅広い声をいただいております。頂いたご意見はすべて確認し、すでに改善に反映している項目もございます。社内では、『大きな変革への期待』と『急激な変化への不安』 が混在していますが、それはむしろ健全な反応だと考えています」

 社内にも少なからず動揺はあったというが、同社は“伝統と新しい風の融合”を目指すという。

「(ヒカルの)意思決定のスピードは非常に速く、改革は始まったばかりですが、明確な変化がすでに各所で生まれています」と答えている。

 多数の賛否の声が寄せられた“異例の人事”で、今後「ナポリの窯」がどのように生まれ変わるのかに注目だろう。