■モヤモヤするのに魅力的な『シナントロープ』
先の読めなさなら、本作は『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)以上だろう。水町(山田)の不可解な記憶、折田(染谷)の過去と亡き父の謎、シマセゲラの正体と目的、折田の部屋を監視しているトンビとキツツキの正体など、わからないことだらけ。なんとなくぼんやり見えてきたのだが、はっきりしたことはなく、やたらにモヤモヤしてしまう。
考察を難しくしているのは、展開が遅いというのもある。だが、それ以上に、意味不明のエピソードが次々に積まれていくからだろう。しかし、それでも見てしまう。なにしろ、メインからサブまで、関係がないように見える登場人物が、実はつながっているように見せるため、演者それぞれから目が離せないのだ。
シナントロープのアルバイトたち、折田とその部下たちなど、個別に並べればなんてことないのに、キャラがしっかり立っていて、それぞれが主役のように感じてしまう。水上はインタビューで「主人公の舞台が混ざり合っている世界」と言っているのは、このことだろう。
それぞれが独立したように見えるエピソードの中で、みんなが主役のような存在感を発揮している。ドラマの構造的に、キャラがより引き立っているのは、言うまでもなく実力派の若手俳優が一挙集結しているからで、魅力的なのも納得だ。言ってみれば、本作は“新しい青春群像ミステリー”ということだ。
そんな中でも、特に輝いているのが主人公・都成を演じる水上だ。クズっぷりキレっぷりは見事に殻を破っていて、新境地を開いたといっていい。水上は「特に都成は主人公らしくない。そんな主人公像を新しくカテゴライズし、世の中に提示できるのでは、と思っています」とも語っており、かなり手応えを感じているようだ。
今回で各エピソードが、少しずつだが、つながり始めた。次回は、クルミの行方を聞き出すため、部下・龍二(遠藤)が出前に来た都成を拉致する。絶体絶命の事態になるらしいが、今後、男女8人がどんな結末を迎えるのか楽しみだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。