■芸達者ぶりがさえる妻夫木聡

 X上では、《一般競馬オタクの私、目黒蓮くんのファンになったわ。役作りすごい…馬への熱い情熱をもっているという演技が上手すぎるし、学生時と厩舎、病室とか競馬場にいるとき、まとっている空気感が違くてすごい。表情で魅せてる…一挙一動が目離せない感じだ》など、耕一を演じる目黒への称賛の声が多く寄せられていた。

 目黒は見事なまでの演技で、今後、物語を引っ張る存在になりそうだが、次回はロイヤルチームと対立。そこから和解して、みんなで勝利を目指すという筋書きになると思われる。かなり熱く、盛り上がる流れになるとは思うが、残り3話では、どうしても物足りなさを感じてしまいそうだ。20年の長い時間を描くドラマなので、どうしようもないのだが……。

 そこで期待したいのが、主演の妻夫木だ。物語は全体的に急ぎ足な印象があるが、見ていて置いていかれている感がないのは、妻夫木がちゃんと物語の軸になっているから。泣き顔が毎回のヤマ場ポイントになっていて、原作の早見氏もドラマ化を記念したトークショーで、《毎回、主人公が泣く場面があるが、全て泣き顔が違う。本当に見事》と、妻夫木の泣きの演技を高く評価している。

 目黒の感情の変化を繊細に表現する演技は素晴らしい。しかし、物語をひっぱるのは、やはり主演の妻夫木だ。これから最終盤に入っていくが、物足りなさをカバーして盛り上がりを作れるか、妻夫木の演技に注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。