■草なぎ剛にこだわりすぎた?
X上でも《ちょっとこのいきなりな展開は端折り過ぎやない?見てる側もこはるさんにたくさん情あったのに…なんかこの脚本なぁ…》と、こはるの突然すぎる退場にとまどったり、《枝葉を広げすぎに加えて、今回は説明セリフが多すぎて、登場人物の感情が全く伝わってこない。脚本があまりうまくないのか、演出の問題なのか》など、展開に困惑する声が少なくない。
本作の制作は草なぎ主演の『戦争シリーズ』(銭の戦争、嘘の戦争、罠の戦争)を手掛けてきたカンテレのチーム。同シリーズのほか、『僕シリーズ』(僕の生きる道、僕と彼女と彼女の生きる道、僕の歩く道)など、草なぎ主演のドラマでヒットを飛ばしてきたのだが、なぜこうなったのだろうか。
おそらく、「俳優・草なぎ剛」を意識しすぎたのではないだろうか。本作も、そこかしこに彼の過去作を感じさせるテーマがあり、X上でも、《なんか剛くんが演じてきた映画やドラマのテーマが全部てんこ盛りに入ってるみたいなドラマになってきた。既視感が毎回ある》と指摘する声がある。
制作チームはこれまで草なぎと作ってきたものを、全部、入れようとしたのではないだろうか。それがコントロールしきれず、カオス状態になってしまったのかも。「草なぎダイジェストドラマ」として見れば、楽しめるかもしれないが、さすがに視聴者みんなが草なぎファンというわけではない。それが数字にあらわれたと思われる。
もう少し要素を削れば、ドラマの印象は変わったはず。脚本は、草なぎ主演の『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(NHK)の高橋美幸氏が新参入。同作で東京ドラマアウォード2024の単発ドラマ部門グランプリを受賞と、成果を上げていた“草なぎ×高橋コンビ”だったこともあり、もったいないドラマだ。(ドラマライター・ヤマカワ)