■登場人物を多角的に描く『じゃあつく』
まさに中だるみ知らずの本作。子世代と親世代との価値観の違いを呪い的に描くドラマはこれまでも多くあったが、あくまでもメインは子の解放だった。しかし今回は、親の価値観のアップデートまでしっかり描かれており、誠実さを感じる。登場人物を多角的に描こうとする姿勢が、多くの視聴者の支持を集めているのだろう。
勝男(竹内)と鮎美(夏帆)が再出発のスタートラインに立つまでを丁寧に描いてきたこともあり、視聴者には2人を応援するしかない空気が満ちている。X上でも、《鮎美と勝男すごく自然体で対等に話してるのいいね。いろんな人と関わってアップデートされた2人は人として成長して楽しそうでほんとお似合い》などと、勝男と鮎美がよりを戻す流れに好意的な声が増えてきた。
また、肌着で外出してしまう勝男の独特なファッションセンスも話題になっており、今回も肌着とパジャマのズボン姿で母を追いかけて街を走るというサービスっぷりで死角なし。ラストに向けて、盛り上がるしかない状態で、次回は最終回でもないのに時間拡大SPで放送と、TBSもこの勢いを逃さない姿勢のようだ。
TVerのお気に入り登録数は、民放連ドラ歴代3位の『VIVANT』(同局系)の191.8万超えは難しそうだが、4位の『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の185.9万には追いつくかもしれない。間違いなく2025年最大のヒットドラマといえる本作のラストスパートに注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。