■追加戦士が意外な恩恵を受ける展開に――
そんな志田は、2代目・角乃として『ゴジュウジャー』に登場した最初の場面で「私もこのビジュ、見れば見るほどアリなんだよね」と調子に乗ったり、「決めた。このままでいる。ハイクラス&ラグジュアリーで……“鬼”カワイイ!」と、『ドンブラザーズ』にちなんだネタをノリノリで披露。オープニング映像ではダンスも完璧にこなすなど、やはり高い演技力で視聴者を魅了した。
もともと角乃は曲者揃いのゴジュウジャーでは“キャラが弱い”とも言われていたが、キャスト交代によって、一気にキャラが立った感もあるため、
《こういったらあれだけど、いままでは美人だけが売りだったのがギャグもできる存在感すごい一河角乃になって番組のに足りないのが補われた感じする》
《正直交代大成功やん演技力が違いすぎる》
《角乃のキャラあんまり面白くない問題が鬼頭はるか(※志田)をインストールする事で解消されるの豪快すぎ》
といった、志田の躍動を絶賛する声が多く寄せられている。
また、今回のキャスト交代は、意外なところでは追加戦士である“熊手真白/ゴジュウポーラー”(木村魁希/24)のファンも喜ばせる形となった。その理由は、キャスト交代に伴い、オープニング映像の新規撮影が行なわれたから。
『戦隊』では、追加戦士が加入するとオープニング映像が変更され、追加戦士のカットが挿入されるが、撮影の手間もあるため、別撮りした映像を強引に追加したような編集になることも多い。『ゴジュウジャー』でも、これまでは“初期メンバーが、変身前の姿の等身大パネルを空に放り投げる”“変身前のみんなが喫茶店で踊る”の2カットに追加戦士・熊手は不在だったが、オープニングを撮り直した関係で、どちらの場面にも熊手が登場するように。
《新OP見た…新撮…ありがとうありがとうありがとう…本当に大変だったと思います…熊手真白が5人と同じ画面にいるのも嬉しい…》
《撮り直しも大変だったろうけど熊手さんも入った完全版と思えば悪いことばかりではないな》
《新録の殆どが東映の屋上・テガ里(※喫茶店)セットなところに急ピッチ感が伺える。 追加戦士の熊手もがっつり加わった映像になったのは、怪我の功名というべきか》
といった、スタッフの頑張りに感謝しつつ熊手の出番増加に喜ぶファンは多い。
さらに、これは皮肉な話ではあるが――今回の『ゴジュウジャー』は、今森の不倫疑惑&19歳飲酒という前代未聞の不祥事から始まり、彼女の降板と後任として志田が投入されるまでのバタバタ感、劇中での自虐ネタなど、多くの話題性から過去最大級の注目を集めている状況にあるのだ。
《苦境も苦境に立たされたからこそ、作り手側と視聴者側が一つになれたのは、皮肉というかなんというか… 正しく、"歴史の目撃者”ですね…》
《こんなライブ感を楽しめる機会そうそうないですよ ゴジュウジャーほんとうにありがとう》
《結果的にこんなに「リアルタイムで観ることの意義」に満ちた戦隊はない、って域に達したな。作り手の意地とプライド、視聴者のテンションの乱高下。これ後年に観ても絶対に同じものは味わえないよ。俺たちは今、大げさではなく歴史の目撃者になってる》
《この話題のお陰でここ最近のゴジュウジャーちゃんと見てる》
《ゴジュウジャーはある種話題になったから逆に良かったのかも知れんなぁ。ちょっと炎上商法チックではあるけど…特に今週の視聴率は跳ね上がったんじゃないかしら?》
など、視聴者が“歴史の目撃者”として作品を楽しむようになったとも言えそうだ。
そんな話題に事欠かない『ゴジュウジャー』だが、同作は『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)から半世紀続いてきた『スーパー戦隊シリーズ』の、ひとまずの最終作としても注目を集めている。
子どもたち向けテレビ番組としてはあってはならない不祥事が起きて《最終作なのに…》など嘆きの声もあったが、“救世主”志田こはくたち俳優陣の活躍、制作スタッフの尽力もあり、風向きは変わりつつあるようだ――。
特撮ライター・トシ
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受ける。その後、歳を重ねても熱量は衰えず『クウガ』から始まる平成仮面ライダーシリーズと現在も歴史が続く令和ライダーはすべて履修し、『スーパー戦隊シリーズ』、平成以降の『ウルトラ』シリーズも制覇済み。『仮面ライダーゴースト』の主人公の決め台詞でもある「俺は俺を信じる!」を座右の銘に仕事に全力全開。