■ありきたりだった『小さい頃は、神様がいて』
一方で、《離婚の理由まじでいまだに納得できないし本当に離婚したい人からしたら、は?ってなるような気がするwなんか色々と不自然なんだよなー》《あんは子育てしていた時間は全力で楽しんでいた、でも本当の自分ではなかった、と言われると多重人格なの?!と思う》などと、そもそもあんが離婚を考えた理由について、疑問の声もある。
結婚を含む男女関係について、最近のドラマはやたら解像度が上がっているが、今作の離婚の理由が「育児に専念して自分がいなくなったように感じた。それに夫のフォローがなかった」だけでは、ちょっと踏み込みが足りないように感じる。岡田氏にしては、ちょっとステレオタイプではないだろうか? 確かにちょっとしたことではあるのだが、基本設定であるため、見ていても終始、モヤモヤを感じるのだ。視聴率が低調なのは、それが原因ではないだろうか。
とはいえ、物語の主題は「離婚を決めたあとにどう考え、どう関係を構築するか」で、渉とあんの変化は丁寧に描かれてきた。また、2人の子の順とゆずに、永島慎一(草刈正雄/73)とさとこ(阿川佐和子/71)の孫、凛(和智柚葉/8)と真(山本弓月/7)を対比させて描くあたりは見事。まさに大御所脚本家・岡田氏の仕事といえる。
ただ、出だしから違和感を覚えると、終始「いまさら離婚しなくてもいいんじゃ」とツッコんでしまい、集中して見られなかったのは事実。あんが“離婚を決めてから始まる”設定に、力が入りすぎたのかもしれない。基本設定さえよければ、反響も変わったはずで、現在の低い数字は残念だ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。