日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が現代のトレンドを徹底解説。いまや当たり前の光景となった「スマホながら飯」の意外なリスクを深掘りする。

 箸を片手にスマートフォンをのぞき込みながらひとり飯――。ラーメン店や定食屋では、そんな“スマホ見ながら飯”の光景が珍しくないものになりました。

 味の素(株)が昨年行った調査によると、10〜20代の約8割が「ひとりで食事をするときにスマホを見ている」と回答。さらに約6割が「ほぼ毎日見ている」と答えており、スマホは若者の食卓に欠かせない存在になっているようです。

 調査では、「食事中の時間を有効活用したい」(34.1%)、「退屈しないため」(27.7%)、「なんとなく」(27.0%)、「ひとりの食事がさみしいため」(26.4%)、「スマホをいじることが習慣化してしまっている」(21.9%)といった理由が並びました。タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する若者にとって、“ながら”で過ごすことは効率的で自然な行動なのかもしれません。

 ただし、健康への影響も無視できません。

「食事中にスマホを見ていると、脳の意識が映像や情報に向かい、味や香りへの集中力が下がると言われています。また、ダラダラと食べることで満腹感を感じるまでに時間がかかり、過食になりやすい。スマホを見ながらの食事は姿勢が前かがみになりやすく、咀嚼回数が減ることで消化が悪くなります。こうした習慣が続くと、肥満や血糖値の乱れ、味覚の鈍化にもつながりかねません」(グルメサイト編集者)