■食事中も脳がフル稼働

 さらに、心の健康面でも影響があるといいます。

「食事は本来、体と心を整える時間です。スマホを見ながら飯をすることで、脳は常に情報を処理し続けて休むことができません。その結果、リラックスできず、食後も疲労感が残りやすくなる。こうした“ながら”の食事が積み重なることで、ストレスが抜けにくい状態に陥ることも指摘されています」(前同)

 それでも、スマホと食事を完全に切り離すのは難しいのが現実です。実際、SNSでは「ひとりの食事ぐらい好きにしたい」「動画を見ていると気が紛れる」「家族と食べるときはスマホを置いている」といった声も多く聞かれます。

 こうした背景を踏まえると、便利さと引き換えに少しずつ失われているものがあるのかもしれません。香りや食感、温度を感じながら食べる時間は、忙しい日常の中でほんのひととき、自分を取り戻す時間にもなります。スマホを置き、料理の湯気や香りに目を向けるだけで、食事の味わいは少し変わって感じられるはずです。

 あなたは今日、スマホと食事、どちらに目を向けますか。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。