■高石あかりの情報量がものすごい演技

 しかし、同時に描写されたトキとヘブンの微妙な関係に様々な声が。X上では、《ヘブン先生が「シャラップ!」「アバヨ!」って小谷くんを追い出したの、体調が悪いので静かにしてほしかったのか、トキと仲良くしていて何だかモヤッとしてしまったのか、どっちかわからない描き方がいいよね》と、ヘブンの心情の変化に反響が。

 また、トキにも、《「ただの通りすがり」と言われ今日はおリヨ様といい感じなのを見せられ、小谷との約束について追及されたと思ったら特に何の感情もない様子で「ようわからん」「私はただの女中」…おトキのヘブンさんへの揺れ動く気持ちは本人が気づいてないだけでこれはもう…》などと、その胸の内を推測する声が多かった。

 トキとヘブンの気持ちがゆっくり変化していくのを、ちょっとの言葉とちょっとの態度で見せていく。余裕があるというか、なんとも贅沢な恋愛ドラマだ。合間に入るサワ(円井わん/27)や松野家のエピソードもいいアクセントになっているが、なにより高石の演技だ。気持ちが揺れ動いているが、好きという気持ちに至らない微妙さをうまく表現している。

 これには、高石も自身のXのアカウントで、《トキ…ヘブン……少しずつ……いつも小さな小さな心の揺れを感じ取っていただきありがとうございます嬉しいです》とポスト。また、視聴者は、《おトキさんは、表情の情報量が素晴らしくて、顔を見ていれば、セリフが無くても何を考えているのかがわかるなー高石あかりさん、すごい》などと称賛している。

 物語も映像も、それぞれがパッと見では地味に見える本作だが、これで高視聴率をキープしているのは、すごいとしか言いようがない。次週は、いよいよリヨがヘブンに結婚を迫るようだ。さらに、ヘブンは自身の悲しい過去を語るようで、トキとヘブンの関係がどう変化するのか注目だ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。