日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。12月13日の中日新聞杯ではマルガやメリオーレムに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。
(2025年12月8日寄稿)
国際競馬統括機関連盟(IFHA)の最新世界ランキング1位に君臨し、欧州年度代表馬にも選出された名馬カランダガンの参戦で、大きな話題となったジャパンカップ。
最後の直線、クリストフ(・ルメール)騎乗の1番人気マスカレードボールとカランダガンが火の出るような激しい叩き合い。レコード決着という歴史に残る名勝負を制したのは、カランダガンでした。
外国産馬がジャパンカップを制したのは、05年のアルカセット以来20年ぶり。残念ながら騎乗馬がなく、僕は京都競馬場のモニターでレースを見ていました。来年の凱旋門賞で、このカランダガンを倒したいという新たな目標がまた一つ生まれ、気持ちが熱くなっていました。
それでは今週の騎乗馬です。香港スプリントへの挑戦を予定していたジューンブレアが熱発のため、大事をとって回避。12月13日は中京。14日は阪神競馬に参戦することになりました。
武豊56歳。名実ともに“おっさんジョッキー”の僕のために毎週末、楽しみな騎乗馬を用意してくださる関係者の皆さんには感謝しかありませんが、その中でも13日の中京競馬は、ワクワクするような馬が僕を待っています。
スタートは、3R3歳以上1勝クラスのダート1900メートル戦。コンビを組むのは、松永幹夫厩舎のアークドール。1勝クラスを卒業し、次のステップに進めるよう、ここも全力騎乗です。
リアルスティール産駒、友道康夫厩舎のエンダードラゴンとともに挑む8Rダート1400メートル戦も、楽しみなレースの一つです。
今年5月に初勝利を挙げた後、壁にぶつかり、馬も人ももがき続けていますが、そろそろ2勝目のチャンスが巡ってきそうな気がしています。