阪神タイガースのレジェンド、“ナニワの春団治”こと川藤幸三が猛虎愛を語り尽くす熱血コラム。OB目線の激励から時には喝も……熱き魂が炸裂する!
「歳月人を待たず」とか、「光陰矢の如し」とは、よう言うたもんや。ワシのように爺さんになると、ホンマに月日がたつのが早い。それを痛感するわ。
藤川球児がタイガースの監督就任会見で、所信を表明して1年が過ぎた。
「勝つために必要なのは力。力のないベテランは必要ない」とまで明言したわけやが、これは長年、チームに貢献してきたベテランといえども、過去の実績に安住するんやなくて、危機感を持って挑めちゅうこっちゃ。
つまりは実力主義やな。そして、その言葉通りのチーム作りをした。主力選手はホンマモンの主力になってきたし、控えだった若手選手のレベルも上がり、層も厚くなった。
他のチームのような補強らしい補強もせんかった。大山がFA移籍せんかったのが最大の補強といわれたけど、その通りや。
ペナントレースも、夏場以降は安心して試合を見ることができた。どう考えても、つまずきそうな弱点は見えてこんし、モタモタしてる他のチームを見る限り、優勝は鉄板やと思った。セ・リーグ史上最速の優勝も当然の流れやった。
優勝してから、いろんな人から「タイガースは強い。強すぎる」といったことを言われた。
「巨人が強かった頃と似ていませんか。スキがないし、戦力の層も厚い」
「阪神の黄金時代到来と言えますね」
ワシはこの世界に入って60年近くになるけど、こんな言葉は過去に聞いたことがなかった。そりゃあ、嬉しいで。そして、ワシもタイガースは新しい時代に入りつつあると思う。